「4月になったら心機一転してなんか始めるか!」と思い立ち、何もせぬまま6月も終わったのでビックリしている。労働で連日Zoom会議してるうち、あっという間に時が過ぎた。
対面でもうまく喋れない人間がwebカメラ越しで話せるわけもなく、Zoom会議には未だ苦手意識が抜けない。最近は誰かに話題を振られたら「でさぁ~ね!」と首を傾げてハリウッドザコシショウの物真似をすることでやり過ごしていたのだが、これを数10分のうちに何度も繰り返していると皆が自分を無視して話を進めてくので大変快適である。最近はバーチャル背景もザコシにして、カメラを天井に向けているのでギャラリービューもザコシしか映っていない。しかめっ面のザコシが常に代理としてそこにいる。そもそも、おれは会議に呼ばれているのだろうか。参加しているのは誰なのか。頭の底から響くのは、誇張し過ぎたマリックが、ちょげちょげちょげちょげと喚く声…
それはともかく春アニメは個人的には豊作だった。続編として期待以上の出来だった「ゾンビランドサガR」、原作の地味な回を超絶拡大解釈して仕上げた手腕にただ感心の「ssss.ダイナゼノン」、七面倒くせぇSF設定がクセになる「ゴジラS.P」、どれも良かったけどあえて1位を選ぶならやはり「オッドタクシー」である。完全にノーマークだったオリジナル作品だが、1話ごとに先が気になってしょうがなかった。ジャンルすら迷子気味の展開の読めなさと見事な収束を見せたラストの衝撃は、ここ何年かのアニメでは味わえなかったものだ。
舞台は東京。セイウチのタクシー運転手・小戸川はいろんな客を乗せて走る。バズりたい大学生、地下アイドル、お笑いコンビ、訳アリの看護師、アイドルのおっかけ、ヤクザなどなど…。ケモノたちがローテンションな笑いの会話劇を繰り広げる様は「紙兎ロペの出来のいい版」みたいに初見では思えた。声優にやたら吉本芸人が多いことも相まって、概要だけでは1ミリも面白そうに思えない本作だが、その実態は裏社会が大きくかかわるクライム・ミステリーである。
抜群に面白いのに、ここまで面白さを説明しにくいアニメもあまり無い気がする。ミステリゆえ最終回のドンデン返しもすさまじく、こればっかりはSNSでうっかりネタバレを踏まないうちにとにかく観てくれと言う他ない。初期の数話では「世界設定のいい加減さ」が気になるかもしれないが、それはもうその時点ですでにもう、アレなのである。わりとマジに10年後とかでも「カルト作品」として語り継がれていく傑作だと思っています。