漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

Identityを超えて/『藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編』

 土曜日は友人らと新年会、カードゲームを遊ぶ。トレーディングカードゲームの類ではなく、「横暴編集長」とか「私の世界の見方」とか、ボードゲームに近いたぐいのアレである。

 「横暴編集長」は、いろいろな書名を上の句と下の句で区切ったカード(「ニンジャ」「スレイヤー」、「サラダ」「記念日」等)を組み合わせ、新たなベストセラーをプレゼンするゲーム。オモコロでもなんか似たような企画で新書のタイトルを作ってましたね。多少の運とその場の勢いがモノを言う、初顔合わせでも盛り上がれるよいゲームです。カードは自分で追加すれば無限に増やせそう。

 「私の世界の見方」大喜利ゲーム。いろいろなお題カード(自分で言うのもなんだけど、俺ほど○○が似合う男はいないよ。さて、○○に入るのは?等)に対し、言葉が書かれた手持ちのカードで解答する。むろんベストな解答ができることは稀で、ランダムで山札から選んだカードのほうがピッタリの答えになったりもする。お題カードを引いた親に選ばれた解答をできれば得点となる。普通の大喜利と違い、親が好みそうなセンスを理解しているかどうかも重要で、ある種のコミュ能力も必要かもしれない。

 そういう感じで楽しく遊び、中華料理屋で紹興酒などを飲んでいたらあっという間に夜になってしまった。成人の日はやたら仕事が残っているし、休み明けにいろいろアレできてないと完全に終わるけど、ひと眠りして朝から頑張れば何も問題はないはず! でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ。だから――この話はここでお終いなんだ。

 


 

 お正月なので『藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編』1~4巻を買って読みまんた。今までもつまみ読みはしていたのだが、まとめて全部読めたのは初めて。小学館から全4巻で出ていた文庫と収録作は同じだと思うが、こちらは掲載誌別にまとめられているのがミソと言えばミソ。例えば3巻は「漫画アクション」に掲載された作品群で、「ぼくの悪行」「求む!求める人」「倍速」「神様ごっこ」「あいつのタイムマシン」など、さえないオッサンが主人公か重要人物として出ている話が多い。陰惨というかショッキングな話は比較的少な目な気もするね。「いけにえ」「超兵器ガ一號」なんて、もっとトンデモないオチに出来そうな感じもするんだが。かといってヌルいというわけでもないし、壮大過ぎる人間愛の賛歌「旅人還る」、この設定と展開でこのオチは奇跡的としか言いようがない「有名人販売株式会社」みたいな作品は心底スゲェと思います。