漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

血を吸う花は少女の精/『ウルトラマンタロウ』

 仕事でいそがしかったです。おわり。

 

 

 風邪予防にビタミンCでも摂取するかと口にカプセル入れるも、口内が乾いていたせいで舌に張り付き、飲み水はないかと探しているうちにカプセルが溶けてずいぶん酸っぱい想いをしました。おわり。

 


 

 たまには日記タイトル通りの話を。明るく能天気な印象のある『ウルトラマンタロウ』の中でも「鬱話」と俗に言われているのが、11話「血を吸う花は少女の精」と45話「赤い靴はいてた…」の2本だそうで。個人的に鬱とはちょっと違うが、普通に「怖い!」と思ったのが11話のほう。これだけ怖くて厭な話、『怪奇大作戦』の「青い血の女」くらいしか知らない。ていうか最近観返して、本当にいたたまれない気分になったんだよおれは! 
 そもそもタロウが明るいと言われるのはモチロンだのモットクレロンだの一部の変な怪獣や、ZATの「ひっぺがし作戦」だの「アミアミ作戦」だのいう西住流レベルのネーミングセンスとかの印象も大きく、初期はわりと人死にが出てたりしてるし、ムルロアだのバードンだの有名な回もかなりの大惨事だ。単に底抜けお気楽な話ばっかりではないのである。いちおう言っておくと。

 

 で、「血を吸う花は少女の精」。タロウこと東光太郎が、ウソつきでみなしごの少女・かなえと出会うところから始まる。かなえはきれいな花をいつも持っているのだが(花を切るための剪定ばさみをいつもパチパチ言わせている。この時点で少し怖い)、この花、実は蔦怪獣バサラの体毛の一部。バサラは夜な夜な、切りとられた花のもとへ蔦を伸ばし、近くにいる生き物を吸血蔦で殺してしまうのだ。その性質を知ってか知らずか、かなえは道行く人々(子持ちの母親ばかり!)に花を手渡していく。かなえの養母もバサラに殺されてしまった。耳に透明な管が刺され、血液が吸い取られていくのが見えるこのシーン、それを窓の外からじっと見つめるかなえの表情も相まって心底冷える。
 まあその後いろいろあって光太郎はバサラの本体を発見。それは身寄りがない孤児が土葬されているという「捨て子塚」に生える蔦であった。バサラは捨て子塚の死体を養分として成長していたのだ。怪獣じゃなくて妖怪に近い臭いがする。
 光太郎はタロウに変身、正体を現したバサラ(着ぐるみはアリンドウの改造)と戦う。ストリウム光線でみごと焼却…と思いきや、なぜかお経が響き渡り、バサラが完全復活してしまう。怨念の力で捨て子塚のある寺を爆発炎上させ、バサラはようやく姿を消す。そこに残されていたのは大量の水子地蔵であった。この間、BGM代わりにずっとお経が流れている。

 

 エピローグ、かなえは施設に引き取られることになった。しかし謎は残る。なぜ、かなえは花を切って配っていたのだろうか。
 「あの子は、花を本当のお母さんだと思って慕っていたのよ」
 いや、違う。かなえは花が人を殺すことを知っていた。光太郎は言う。
 「憎んでいたんじゃないのかな。自分を捨てたお母さんを。お母さんにそうさせた、世の中を」

 

 かなえは一人で墓地を歩いている。
 はさみのパチパチという音が響く。