漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

東京サイレント作戦/『極楽商事』二宮博彦

 仕事をする気がまったく起きないので「アニヲタWiki」を読んでいたが、「“もしもボックス”で音の無い世界へ行ったのび太たちはどうなったのか?」という項目があって興味深かった。ジャイアンのリサイタルを聞きたくないがために、のび太とドラえもんがもしもボックスで“音の無い世界”へ行く。そこでは筆談で意思の疎通をするのだが、ジャイアンの唄は字を見るだけでもヒドかった…という回がある。

 この話、最終的にのび太たちが元の世界に戻る描写が描かれていない。ひょっとしたら、二度と元の世界に戻れなかったのではないか? もしもボックスは「〇〇な世界に行きたい!」と伝えることで、その世界に行けるひみつ道具。音が無く、声も出せない世界なら、そもそもこの道具は使えないのでは…?

 もしもボックスは電話ボックス(すでに遺物だね)型のひみつ道具で、具体的には「電話口で条件を伝えた内容と近いパラレルワールドに移動できる」ひみつ道具である。重要なのは「現実を改変する効果」ではないこと。『のび太の魔界大冒険』ではこれが重要な意味を持っていて、「例え元の世界に戻れても、魔法が使えるこの世界を救えないんじゃ意味が無い!」と、のび太たちが奮起する場面がある。

 この「パラレルワールドに移動している」という能力がやっかいである。「音がない世界じゃもしもボックスが使えない!」と気づいたドラたちはどうするべきか? 現実改変に便利なタイムマシンも、今回はあまり有効に使えそうにない。もしもボックスを使う前に戻っても、そこはすでに「音が存在しない世界」である可能性が高いため、「口頭で指示する必要が無い、現実改変型のひみつ道具」を使用するしかない。そんなのあったっけ…? 声が出せない以上、ウソエイトオーオーも使えないし…。タイムマシンで未来に行けば「音が無い世界で発達したもしもボックス的なひみつ道具」を入手できるかもしれない。文字入力式のものとかね。しかし、そもそも「音が無い世界」で作られたひみつ道具が、音という概念を理解できるだろうか? 我々の世界のもしもボックスに「ウッピォソョリモジューネをホママヘミハンガできる世界へ行きたい!」だの、「空中のフランスパン濃度を伊らせられる世界!」と言ったところで理解してくれるかどうか。ウッピォソョリモジューネも伊るという概念も、そもそもそれが存在しない世界で作られたひみつ道具のAIには荷が重たすぎるのでは…?

 結論から言うと、“音の無い世界”に行ったドラとのびは2度と元の世界に戻れなかったのではないかと思う。詰んでます。我々が知っているドラとのびは「音の無い世界に行かなかった」世界線にいるドラとのびなのだ。南無阿弥陀仏。

 


 

 キンドルアンリミテッドで、最近TLで話題のどおくまん作品を読み漁っているがメチャクチャに面白い…。迫力ある見開きが多いので電子書籍では存分に楽しめず、物理書籍を購入してもよいと思い始めているところだ。

 読み放題の中に、二宮博彦の著作を発見した。コミックボンボンで『ガバチョン笑劇場』という芸能エッチ漫画を連載、デラックスボンボンなどにもいろいろ描いていたが単行本には恵まれなかった二宮博彦。プレイコミックで連載していた『極楽商事』なる作品が電子書籍化されている。ちなみに『ガバチョン笑劇場』は「明石家タンマ」と「片岡ズル太郎」らが経営する「ガバチョン商事」の面々がなんかいろいろやらかすギャグ漫画で、この作者はよっぽど商事が好きなんだなと思いました。『極楽商事』は読んで2分後には全部忘れそうな内容だったけど、『ガバチョン笑劇場』はどこかで陽の目を浴びてほしいぜ!