漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

お母さん助けて! 恐怖の生中継/『新感染 ファイナル・エクスプレス』

 コンビニのイートインで小学1・2年生くらいの女の子がひとりで食事しているのを見た時は「孤食児童! これでいいのかニッポン!」という気がしないでもなかったが、別にあれは好きでやってるのかもしれないしな。子供のころの買い食いってそれ自体が楽しかったし、イートインのスペースもこれでなかなか快適なものだ。充電できるし、食べ物はいくらでもあるし、こうやってホットスナックをつまみにフォーナインを空ければ我が家のようにくつろげるし、こうやって靴を脱ぐのも自由だし、歌を歌うのも自由だし、服を脱ぐのも自由だし、とかやってたら普通にマッポ呼ばれましてね。その時投げつけられたカラーボールの染みが鬼の貌に見えるってんで、仲間内じゃオーガと呼ばれとります。

 


 

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 『新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編がクランクアップしたというニュースを聞き、そういや『新感染』観てなかったなと気づきネトフリで観賞。B級丸出しの邦題に反し、今さらおれ如きが何か付け加えることもないような傑作で、記録と記憶に残るゾンビ映画の新定番。
 子供とどう触れ合っていいかわからない社畜パパ、妊娠した妻を支えるけんかっ早い熱血おじさん、素直に恋愛感情を表に出せない野球部員とマネージャー、人生達観気味の老姉妹、とにかく自分の保身第一のいけ好かない中年、任務に忠実な運転手、なにやら事情を知っていそうな謎の浮浪者風の男…。壮大な死亡フラグを立てまくる個性的なキャラ連がとにかく強烈。他にも 最初から最後まで落ちることのないテンション、シチュエーションを「新幹線」にしたことで生まれた閉所ならではのスリリングな展開や赤の他人である乗客たちが交わるドラマ性とかなんとか、ヒットの要因はいろいろ考えられるんですが、一言で言えば「マ・ドンソクが強い」。これが最高。ゾンビ相手でも素手でボコボコぶん殴り、圧倒的な強さを見せつけるけど、素手だから案の定という。人間、こうありたいものですな。生存者たちの生きざまと死にざま、どちらも印象深いシーン満載。あと妊婦走らせ過ぎ。

復讐のヘアピンサーカス/『クロール -凶暴領域-』

 最近、ラグビーというものを見る機会が増えた。おれの記憶の中でのラグビーは、確か「頑丈なプロテクターを装備する」「相手に肩から思い切りぶつかっていく」「守備側は攻撃側を体当たりしてでも止めなければならない」「ボールはピッチングマシンで撃ち出す」「選手交代は不可能」「試合中に相手を死なせてもOK」「銀河でいちばん人気があるスポーツ」みたいな印象だったのだが、どうもいろいろと勘違いしていたようだ。
 しかしまあ日本でのワールドカップ開催がなかったら、ラグビーについてこんなに観たり知ったりする機会はなかなか訪れなかったに違いない。世界大会はどんなジャンルの何であれ、積極的に行ってもらいたいですね。マイナーな競技でもいいじゃない、スポーツスタッキングとかジターリングとかコッパメンとか。コッパメンはまあ私が考えたオリジナル競技ですけどね。地面に丸い文様を描き、その中で太った男2人がぶつかりあって先に体勢を崩した方が負けという…もうある? 似たようなのがあるのか。でもコッパメンは斬新な要素もたくさんあって、例えば審判は烏帽子に袴姿というオリエンタルなスタイルで、軍配を持って「はっけよいのこった」の掛け声で場を仕切るという…それももうある? そうなんだ。へえ。

 


 

 auマンデーなので『クロール -凶暴領域-』を観に行ってきまんた。制作はサム・ライミ、監督は『ピラニア3D』のアレクサンドル・アジャという豪華布陣。女子大生のヘイリーが家に帰ったらオヤジは地下室で大けがしてるし、カテゴリー5の台風が接近してきて家は今にも沈みそうだし、なお悪いことに近所のワニ園から逃げ出した大量のワニがうろついているからた~いへん、という災害パニック+アニマルパニックの美味しいどころ取りの欲張りムービー。主要人物は2人でセリフのある人物を含めても10人おらず、シチュエーションはほぼ家の地下室というこじんまりした雰囲気とは言え、小細工抜きでワニの怖さを直球に描いた理想のワニ映画ではないでしょうか。そりゃまあところどころに見られるやり過ぎ感や、この手の映画お約束の主要人物タフ過ぎ問題などはあるけれど、いまやキワモノ・ゲテモノが当たり前のこの界隈では正攻法すぎるくらいで「ワニ映画の新たなマスターピースを作るんや!」という想いはビンビン感じられる力作です。台風とワニが出てくる映画つったら空からワニが降って来るようなの想像するし。
 主人公が水泳の選手というのも、この手の映画ではありそうで意外とないタイプの実にまっとうな特技と言える。パニック映画に出てくる水泳選手ってだいたい死にますからね。そうでもないか。『ポセイドン・アドベンチャー』だけだなそれ。

ガラスのスーパーロボット/『あむんぜん』平山夢明

 風邪で鼻づまりしているのでアタマが働かず、ぼんやりしているうちに1週間過ぎてしまった。いま流行っている風邪はどうも喉と鼻にクるらしいですね。私もこうやって鼻毛を抜こうとするとホラ、子持ち昆布と同じ仕組みで大量のハナクソが鼻毛と一緒に取れるんですよ。ほら。ほら見て。(ヌロン) 出てきた出てきた! うわあ。まるで松前漬けみたいじゃないですか! などと生鮮食品売り場で実演していたら激怒した店長のラリアットが喉元を直撃、ふらついた隙を副店長に抱え上げられボディスラムからの脳天叩きつけで失神しそのまま店外へ叩き出された(6分28秒)。まさか、この一連のムーヴが台風を鎮める唯一の儀式だったとは…。

 


 

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 台風に備えて万全のアレをアレしていたので家に籠りっきり、インドアに過ごす。平山夢明『あむんぜん』読了。いつにも増してバカバカしい短編集であり大変良い。
 チンパンジーに強姦されすべての尊厳を失った男の悲喜劇「GangBang The Chimpanzee」。脳みそを直で押したりぐにぐにされることで超能力を発揮してしまう少年と、脳いじり役の少年の交流を描く「あむんぜん」。うんこを食べるタイプのAVに出演せざるを得なくなった女と男のほのかな恋物語ファンタジー「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」。ヤク中の小便を蒸発させればヤクを回収できるのでは?という組長の思い付きで小便を煮続けることになってしまったヤクザの逃走劇「あんにゅい野郎のおぬるい壁」。“鶴の恩返し”をヒド過ぎる形で翻案した異能刑事ドラマ「報恩捜査官夕鶴」。無職の地下アイドルオタクがいかにして最悪からのV字回復を成し遂げたのかを描く「ヲタポリス」

 平山夢明の短編は、だいたいにおいて“最悪の状況”にある老若男女が出てくる。その最悪のバリエーションの広さには舌を巻くし、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかムチャクチャのほったらかしで終わるのか毎回予想もつかない。まあただ今回は前述の通り“バカ”“無内容”に振り切れており、他人事ながら心配になる傑作でした。

ガイコツ砦の決斗/『HiGH&LOW THE WORST』

 昨日から微妙に喉が痛いので、大事を取って葛根湯を飲む。インフルエンザも流行っているようだし風邪とは限らないのだが、早めの葛根湯は本当に効く。初手で潰せる。しかし風邪を引くような心当たりは無いのだがなあ。

 あとヴィックスドロップも舐めたし、喉にいいハーブティーも頂いたので万全ですね。夕食は昨日に引き続き、好物の釘ぢくわ(ちくわに釘を詰めた郷土料理)です。

 


 

 『HiGH&LOW THE WORST』観てきた。良かった…本当に面白かった。1本の映画としてのまとまりの良さでは歴代最高ではなかろうか。「WORST」どころか「HiGH&LOW」をまったく知らない人が観ても満足できるアクションだと思う。そんな人がこの映画を観に来るかどうかはわからんが、なんの前知識も無しに『HiGH&LOW THE MOVIE』を観て情報の奔流にブン殴られたかのような感じを覚えて、それからシリーズにハマった人も多いと聞くから大丈夫でしょう。今作の主人公・花岡楓士雄はシリーズ初登場の新キャラなので、イチからちゃんと背景とかを説明してくれるので初見でもマジでぜんぜん問題ないです。かなりわかりやすい少年漫画的な主人公なのでスッと入り込めるし。
 あ~もう語りたいとこいっぱいあるな。相変わらずどうやって撮ってんのかわかんねえレベルのアクションとか、鬼邪高vs鳳仙のスデゴロをたっぷり見せた後にどうやってクライマックスを盛り上げるんだ? と思ったら絶望団地戦では凶器振り回す連中が相手で敵も味方もムチャクチャ度がアップしててすげえよなとか、いちばん役どころおいしいのは沢村では?とか。『HiGH&LOW THE MOVIE』にあったイビツな部分を丁寧に取り除き、かつパワーダウンしていない丁寧な仕事といった印象。なんか普通にもんじゃ食いたくなったな。は~良かった。

殺人光線銃完成の巻/『ゴジラ』(84年度版)

 自分が出る必要があるのかないのか、よくわからん打ち合わせで45分ほど浪費。ぐったり。相手に貰った名刺の「デジタルマーケター」という肩書、パソコンとかに対して「負ーけたー!」って土下座しているオッサンしか思い浮かばないからむしろデジタルに弱そうだよな、などと考えながらぼんやりしていた。
 …「ワシがデジタルマーケターじゃ!」 今日もチンポを出したる! と気合十分の全裸中年男性は公衆トイレで隣の男性のモノを見つめ、「負ーけたー…」と一言つぶやいて意気消沈したまま連行されていった。(完)

 


 

 『ゴジラ('84)』をひさびさに鑑賞。おれが覚えている限り、もっとも古い「映画館で観た映画」である。確か父と2人で行ったんだっけな。父はわりと特撮が好きだったようで、「昔は『変身忍者嵐』を夢中になって見ていたもんだよ」などと語っていたが、あとで調べてみたら『変身忍者嵐』放映時の父は20歳近かった。もっと夢中になるべきものがあるだろ。

 それはそれとして『ゴジラ('84)』。当時見た時は冒頭のショッキラス(ゴジラに取りついていたフナムシが巨大化したもの)のインパクトが強すぎたせいかそれしか覚えておらず、ゴジラの印象がまるで無い。で、今回観なおしてみたらそれもしょうがねえだろうな~としか言いようのない、地味な映画であった。こりゃガキにはつらいよ。

 めちゃくちゃ雑にまとめてしまうと「つまらない『シン・ゴジラ』」である。リアリティを出そうとしてケレン味をすべて犠牲にしてしまったというか。なんか知らんけどゴジラが復活、劇中では「あのゴジラが!」つって、みんなはもうゴジラのこと知ってるよネという前提で話が進むので置いてけぼり感がある。そりゃ観客はゴジラの事は知ってるだろうけど、リブート作品でそれをやる? 実写パートはとにかく地味で、総理を含めた政治家連中の国をまたいでの駆け引きとか、やりたかったことはわかるけどなあ、って感じ。特撮は悪くない。ゴジラがすぐそこまで来てるのに呑気に運航しているヘリコプターだの新幹線だのが「案の定」な末路を辿ってくれる。ていうかこの世界の都民は全体的にゴジラ舐めすぎ。

 あとはまあ…空飛ぶ掃除機ロボにしか見えない超兵器「スーパーX」とか、誰一人心に残らない登場人物の中で1人気を吐く武田鉄矢の存在感だとか、足を滑らせて死ぬゴジラだとか、「グッバイゴッジラ~、グッバイゴッジラ~、サヨナラ何とかフフ~ン」とかいう脱力する歌詞のエンディングとか、負寄りの見どころはまんさいだったと思います。

 なんだろうなあ。怪獣が現れて、その怪獣の生態をもとに対処法を探していく…という原点回帰を強く意識したような流れなど、見どころがないわけじゃないのだが。特撮の派手さをすべて覆い尽くすレベルで本編が地味であった。

マイ・ラブリー・ペット/『ゼルダの伝説 夢をみる島』

 どうも、非ピリン系Youtuber(笑)のジャッカル佐崎で~す。今回はですね、まあ消費税も10パーセントに上がっちゃうというわけで、消費税対策のライフハック、これをお届けしたいと思います。
 やっぱ普通ですと、消費税が上がる前に買いだめしておこうっていう発想になるじゃないですか。で、いざ10月になったら買い控えとか、節約の方向に行っちゃいがちなんですけど、これが良くない! 良くないんです。やっぱ、消費は消費として、ちゃんとやってかないと経済が回らないわけですよ。となると、消費税が上がった分は稼がないといけないってことになるんですけど、それをどうするか、ってね。これはもう皆さん薄々お分かりだと思うんですけどね、えー、答えがこちら。「営利誘拐」! 営利誘拐以外にございません。
 というわけで今回もうすでに、営利誘拐のほうを実際やってみたんですけどね。今、後ろでちょっと倒れてるんですけども。コツとしてはですね、騒いだりしないように口と目の両方を縫いあわ(突如、窓を突き破って投げ入れられる煙幕弾)
(画面が白い煙で覆われる)
(複数の悲鳴)
(銃声)

 


 

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 『ゼルダの伝説 夢をみる島』クリア。おれは『ゼルダ』シリーズに関しては非常にうとく、熱狂的ゼルダファンが触れているであろう『神トラ』だの『ムジュラ』だの『ブレスオブザワイルド』だのを完全にスルーしたまま現在に至るのだが、たまにはサクッとクリアできそうなのをやってみるのもいいかな~、と思って手を出したら昔のゲーム特有の不親切さに死んだ1本。でも攻略サイトに頼らずクリアしました。大鷲の塔は発狂しそうになったけど。

 

 元がゲームボーイの作品なんでやりこみ要素等はそんなになく、エンディングを見たらあとは取り逃がしたアイテムを集めるか、敵のダメージが2倍になるモードで最初から遊ぶかくらいしかないのだが、本編だけでもじゅうぶん満足したし、ほどよいボリューム感でちょうどいいと思いまんた。

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思わず撮影した画像

 

はげたかイ号作戦/『砂の器』

 最近はプレステ4の『ボーダーランズ3』(ハクスラ要素のあるFPS)とSwitchの『デモンエクスマキナ』(豊富なカスタマイズを備えたロボットアクション)を進めつつ、『遊戯王デュエルリンクス』(有名トレーディングカードゲームに独自のスピーディさと戦略性を導入した対人戦重視のスマホアプリ)と『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』(『ウルトラマン』シリーズに登場する怪獣を愛でることに特化した育成戦略SMLスマホアプリ)も遊んでいるので、休日はなかなか「二級河川」(11月19日に開催される文学フリマ東京で出品予定のサークル誌)に取り掛かる余裕がない。ようやく歯医者(歯、もしくはそれに関連する口内の疾患を取り扱う医師)通いもケリがついたし、休日(一般的な業務や学業を休む日のこと。国が定めたものは祝日という)はもう少し時間(人間の“認識”を成立させるための、もっとも基本的な形式を成すと考えられているもの)をうまく利用(物事の機能、性能をじゅうぶんに発揮させ、自らに役立てること)したい(意思を示す動詞)(日本語の文の終わりに打たれる記号)

 


 

 午前10時の映画祭で『砂の器』を観てきた。監督・野村芳太郎、主演・丹波哲郎と加藤剛、原作・松本清張。

 操車場で撲殺された身元不明の老人。事件を追う丹波刑事は、被害者と加害者らしき2人の「東北弁」「カメダ」というキーワードを手掛かりに、秋田の羽後亀田まで向かうが特に収穫はなかった。その後、被害者が島根の亀嵩(カメダカ)で警官として駐在していた過去があることが判明。
 被害者と加害者が亀嵩について話している以上、2人は顔見知りであり、接点はここにあるはずだ。丹波は亀嵩へ赴くが、人格高潔で模範的な警官だった彼は恨みを買うような人物ではないことがわかった。ではなぜ、彼は殺されなくてはならなかったのか? 丹波は金沢、伊勢、大阪とぶらり諸国漫遊の傍ら捜査を進めるが…。

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 真犯人については冒頭20分でだいたい察せられるようになっている。後年のテレビドラマ版では真犯人が主役になっているほどで(演・中居正広)、映画版でももう1人の主人公的な立場なのだが、彼のふだんの振る舞いはどう見ても調子こいたクソ人間である。ラスト40分、壮大なオーケストラとともに真犯人の生い立ちが延々と描かれるのには困惑するが、このテーマ曲自体はすばらしい。真犯人の動機はまったくもって理不尽かつ身勝手なものだが、この回想パートwith組曲「宿命」を観終えたあとは、それが感覚で理解できる。ような気がする。ラスト、本当の「ラスト5秒間」の音響も凄い。
 ツッコミどころは大量にあるし、構成も優れているとはまったく思わないのだが、子役も含めたキャストの熱演と音楽は本当に良い。ちなみに、原作小説にあった連続殺人や超音波によるトリックといった要素は映画版では省略されているようだ。超音波て。