風邪で鼻づまりしているのでアタマが働かず、ぼんやりしているうちに1週間過ぎてしまった。いま流行っている風邪はどうも喉と鼻にクるらしいですね。私もこうやって鼻毛を抜こうとするとホラ、子持ち昆布と同じ仕組みで大量のハナクソが鼻毛と一緒に取れるんですよ。ほら。ほら見て。(ヌロン) 出てきた出てきた! うわあ。まるで松前漬けみたいじゃないですか! などと生鮮食品売り場で実演していたら激怒した店長のラリアットが喉元を直撃、ふらついた隙を副店長に抱え上げられボディスラムからの脳天叩きつけで失神しそのまま店外へ叩き出された(6分28秒)。まさか、この一連のムーヴが台風を鎮める唯一の儀式だったとは…。
台風に備えて万全のアレをアレしていたので家に籠りっきり、インドアに過ごす。平山夢明『あむんぜん』読了。いつにも増してバカバカしい短編集であり大変良い。
チンパンジーに強姦されすべての尊厳を失った男の悲喜劇「GangBang The Chimpanzee」。脳みそを直で押したりぐにぐにされることで超能力を発揮してしまう少年と、脳いじり役の少年の交流を描く「あむんぜん」。うんこを食べるタイプのAVに出演せざるを得なくなった女と男のほのかな恋物語ファンタジー「千々石ミゲルと殺し屋バイブ」。ヤク中の小便を蒸発させればヤクを回収できるのでは?という組長の思い付きで小便を煮続けることになってしまったヤクザの逃走劇「あんにゅい野郎のおぬるい壁」。“鶴の恩返し”をヒド過ぎる形で翻案した異能刑事ドラマ「報恩捜査官夕鶴」。無職の地下アイドルオタクがいかにして最悪からのV字回復を成し遂げたのかを描く「ヲタポリス」。
平山夢明の短編は、だいたいにおいて“最悪の状況”にある老若男女が出てくる。その最悪のバリエーションの広さには舌を巻くし、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかムチャクチャのほったらかしで終わるのか毎回予想もつかない。まあただ今回は前述の通り“バカ”“無内容”に振り切れており、他人事ながら心配になる傑作でした。