すでに無からなんかをひねくり出す(原稿を書く)ターンに入っているのだが、あまりに眠いので「今はインプットしているナリよ」みたいな顔をして小説やムックや漫画や映画をだらだら摂取する土日でありました。
「インプットしないとアウトプットできない」論は確かにそうなのだが、消化器官が未熟だったりぶっ壊れている場合、インプットしたものがそのままケツからジャージャー出ていく。ケツ直行便であろうと原型が残っているぶん、わりと食えるものになっていたりはする。うるさ型の客は「おい、コーン混じったままやんけ」など目ざとく見つけてきたりするが、コーンの歯ごたえが良いと喜ばれる場合もある。むろんコンテスト等おおやけの場に出す場合はしっかり噛んでゆっくり消化し、コーンの痕跡など残してはいけない。血が混じっているのも問題で、これはコンテスト等ではむしろ評価されることもあるが、一般的には作り手の苦しみをナマの形で見せつけるのは敬遠されるだけであろう。
『太陽の王子 ホルスの大冒険』観る。「アニメ映画ベスト10」みたいな企画では年長の選者がたびたび挙げるタイトルであり、気になっていたもの。公開は1968年、高畑勲の初監督作品であり、宮崎駿も美術設計等で大きく関わっている。
要はホルス君が伝説の剣だのオノだのを振り回して悪魔をやっつける話。人里離れて暮らしていたホルスは育ての親の死をきっかけにとある村に身を寄せることになるのだが、この村人たちの心の動きの描写というか、さりげないセリフにもいちいちリアリティが感じられて引き込まれる作り。全体的に人としてのキャラの描き方がとても良いんだが、中盤から登場するヒロインのヒルダは非常に印象的。彼女は悪魔の妹であり、村人たちを堕落させるために送り込まれた手先なのだが、村人たちとの交流をきっかけに少しずつ自分の在り方に疑問を持つようになる。これもまあお約束の展開ではあるが、その過程が非常に丁寧に描かれているので今なお新鮮に思えるほど。
アニメーションとしても「動き」がすごい。冒頭のホルス対オオカミのアクションでまず目が釘付けになり、モンスターハンターのジュラトドス戦を彷彿とさせる大カマスの暴れっぷり、前衛的な迷いの森の描写、クライマックスの氷のマンモスvs巨人モーグの怪獣映画っぷりまで大満足。途中、オオカミの村襲撃シーンがなぜか紙芝居になるがまあそれはご愛敬。劇中歌も村人全員を骨抜きにするヒルダの唄を筆頭に印象深いものばかり。というわけで、全編見どころ大過ぎのイイ話でありました。50年前のクオリティってすごいよな~。