漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

爆破された兄弟愛/『男旗』石山東吉

 地域振興課と連日会議、アイデア出しに費やした週。町おこしの為にやるべき事などすでにやり尽くした感があり、これ以上やりようがないというのが正直な感想。グルメ関連ともなればなおさらだ。
 現状、わが尾奈豚市が他市町村に誇れるのはナメクジの多さくらいのもので、ならばナメクジをアピールする新商品をという話になった。今日は新鮮なナメクジをまるごと使用した「リッチミルク&スラッグ」の企画を携えハーゲンダッツ社へ。5分で叩き出され、持参したナメクジを駐車場に撒いて逃走。憤懣やるかた無し。

 


 

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 電子書籍版『男旗』、Kindle Unlimitedで読む。連載は90年開始だが、「応援団もの」のマンガとしてはかなり後期というか終焉期の登場に思える。
 表紙でだいたい想像つく通り、男スメル満載の応援団らの活躍を描いているのだが、かなり「まっとう」に応援団の活動を描いている。まあおれの中の応援団イメージは青田赤道がデフォなので、あれと比べてまっとうと言うのもなんだが。
 1巻表紙中央に描かれている、眉毛だけで男を120%主張しているのが「愛染高校ピンホール応援団」団長・雄方男旗である。が、実は雄方は主人公ではない(タイトルにもなっているのに)。実質的に話を動かしていくのは1年生の羽竜匠だが、彼は2巻からの登場になる。では1巻は何をやっているのかというと、雄方を始めとした3年生幹部の応援団に入るまでの過剰に熱いエピソードを、1人につき1話を費やして描いている。なかなか粋な構成である。読者は羽竜匠ら1年生の視点から、アクの強い先輩らを通じて応援団の心意気を学んでいくことができる。伝説の大団旗を持ち上げるだの、他校の応援団との時にはケンカも交えた交流だの、お約束のエピソードもふんだんに盛り込まれているが、白眉はやはり中盤の「六旗の集い」編。これは要は応援団版天下一武道会みたいなもので、大阪の六高校による年に1度の応援合戦である。ほとんどの高校はここで初登場だが、いずれもキャラが立ちまくっていてとにかく盛り上がる。
 若干、主人公の匠がウザいところもあるが(セリフで助詞の「は」をいちいち「わ」で表記している。なんでだ)、いいヤツも悪いヤツもそれぞれが漢気を主張しており気持ちよく読める。読者の心に旗をおっ立ててくれる文句なしの快作。最終巻はいろいろと衝撃的で必読。