漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

【日記】さすらいは爆破のあとで/『愚零斗鏖』やまだ浩一

 8か月ぶりに取引先と対面での打ち合わせをしたり、1年ぶりにインタビュー関連の仕事をしたり、11カ月ぶりにイベント取材があったりと、「そろそろ戻してええやろ」という気配をなんとな~く感じる昨今。今日も約1年ぶりの即売イベント「おもしろ同人誌バザール@神保町」に出店者として参加してきまんた。

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 イベント自体はなかなかの盛況ぶりだったが、もっと商品の陳列だの宣伝だのに工夫ができたんじゃないかという反省もあった。おもしろ同人誌バザールも、11月末に開催される文学フリマ東京も「見本誌コーナー」が無いらしいので、本の中身をアピールするには何かしら、積極的なアプローチをせねばなるまい。サークルメンバーで緊急会議を行った結果、「チンチンを出しながら絶叫」「逆立ちをしてチンチンを出しながら絶叫」などのユニークなアイデアが続出、実に白熱した有意義な時間であったのでぜひ次回に活かしたい。

 


 

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 『愚零斗鏖(グレートみなごろし)』kindle unlimitedで読む。「魔人が出てくるランプ」と同じ仕組みの「ヤンキーが出てくるライター」を拾ってしまった気弱な小学生が、バカでスケベなヤンキーの鏖(みなごろし)に迷惑をかけられてた~いへん! という想定読者年齢がまったく見えない快作。不良漫画ひしめく週刊チャンピオンで、ヤンキーをただの変な格好をした迷惑なバカとして描いているのは珍しいのでは?
 作者のやまだ浩一は「コメディ」と「ギャグ」を使い分けられる人という印象。前者であれば、例えばデビュー作の『すみれんち』のような確かな観察眼で心情の機微を描く地味ながらも印象的な作品が多いのだが、いざギャグ漫画となると童貞が大騒ぎしてチンコとウンコをばら撒くようなクソバカ漫画ばかり描いている。師匠の小林よしのりの如く、青年漫画と児童漫画を足しっぱなしにしたようなノリ。本当にバカバカしくて良い。
 
 『愚零斗鏖』は藤子不二雄作品によくある「小学生と変なペット」文脈のまま話が進むが、後半になると「魔法の国から来た悪い魔人が差し向けてくる刺客との対決」という、東南アジア辺りでタルるートくんの続編が勝手に連載されたらこうなるんだろうなみたいな話になってしまう。とは言えバトルものになる気配は一切なく、最後までしょ~もないギャグは健在であった。
 ただ、最終回のラスト3ページが凄い。まったく意味が分からない。描かれていることは分かるのだが、何がどうなってこうなったのかさっぱり理解できない。漫画を読んでここまで頭が「?」でいっぱいになったのは久しぶりの体験だった。ラスト3ページのために読む価値すらあると思う。

【日記】ダイヤを乱す牙/『モヒカンつるちゃん』あいきさだむ

 そういうわけで鬼滅の映画を観た。まんまテレビアニメ版の続きなので、初めて劇場版で触れた人にとっては「前半ほぼ寝てた人が後半なんの脈絡もなく出てきた敵と戦って感動的に死ぬ」というまあまあトンチキな内容で終わる可能性もある。ラスト付近は原作でも猗窩座の過去話並にくどい箇所で、エンドロールも煉獄祭りでだいぶ暑苦しくてよかった。1本の映画としてはだいぶイビツな構造である本作が、邦画の歴史を塗り替える1作になるというのは面白いと思う。
 映画館、もうソ~シャルディスタンスのカケラもない詰め込み具合でしたが「ドリンク以外はいっさい持ち込ませない」という手段をとっていた。これがどれくらい効果のある対策なのかはよくわからない。誰も、何もわかりはしないのだ…。

 


 

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 『モヒカンつるちゃん』なんか知らんけどマンガ図書館Zで無料で読める。月刊ジャンプ連載の4コマ漫画である。

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ドピューッ

 パッと見で分かる通り、つるちゃんはピカピカ頭に近い特徴的な髪型…ほぼハゲと言ってもいい。丸々と。連載初期はまったくキャラが立っておらず、とりあえず下ネタ、あるいは適当にうっかりしておけばいいだろみたいな安易なネタしかないのだが、だんだん「一家そろってセコい」というキャラ付けがなんとなく追加された。何らかのプライドがあったのか、「せこ~っ」「もうけたぜ~」というセリフが出てきたのは最終回になってからである。本作自体は少しも面白いと思わないが、天下のジャンプがコロコロを意識しまくってたというのはいい話ですね。作者名がひらがな6文字というのも…。

 

【日記】鬼のすむ教室/『アリサ!』平野仁

 鬼滅、たまたまテレビスペシャル見てネトフリでアニメ1話から見始めて漫画も(奥さんが)全巻買って映画も来週中に観に行く予定というくらい順調にアレしている。見事にブームに乗せられ素直に楽しんでいる。キャラとか展開とかマジでほとんど知らなかったので新鮮。
 アニメはかなり丁寧に原作をなぞっているし、連載初期のやや動きがわかりづらかった部分も完璧なアクションで見せてくれるし、良いアレンジだと思う。今上映している映画はジョジョ3部で言えばまだイエローテンパランス戦くらいの箇所で、2クールと映画1本費やしてそこまでしか進んでいないのはスローペースな気もするが(単行本だと6~8巻目くらいか)、遅いという感覚は不思議と無い。あとやっぱ、首がすっ飛んだり頭が潰れたりするアニメはヒットするんだなあ。少年漫画ももっと積極的に手足がもげたり内臓が飛び出たりドラゴンがカーセックスしたり子ヤギがコンクリート漬けになったりコックカワサキにマイクロビキニを着せたりするとよろしい。

 


 

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 『アリサ!』kindle unlomitedで読む。紙の単行本はかなり入手難なので手軽に電書で読めるようになったのはホント良いと思う。

 

 平凡な少女・アリサの家に謎の男たちが押し入り、両親は射殺されてしまう。逃げ出したアリサは「あなたはパラレルワールドを統治する執政官の娘だ」といろんな意味でヤバいことを告げるおじさんに助けられ、パラレルひみつ道具「消えたり出したりが自由にできるモーゼル・ミリタリー銃」を授けられる。アリサは銃を片手に追っ手どもをばんばんブチ殺しつつ、パラレルワールド放浪の旅に出るのであった。

 

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これはあぶない

 

 正直なところ、パラレルワールド設定を含めた設定・小道具がまったく効いておらず、無理やりSF設定をねじ込んだようにしか思えない。ただアクションシーンはかなりの迫力で、銃の描写もなかなか細かい。ガンマニアではないおれにも、モーゼル・ミリタリーのかっこよさがビンビンに伝わってくる。

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親切なおじさんに特訓を受け、モーゼルの「抜き撃ち」を会得する名シーン。この漫画、アリサ以外のキャラは8割方おじさんしか出てこない

 

 ラストは「戦いは続く…」パターンの打ち切りで、アリサの秘められた力とはなんだったのかとか、途中で別れた竜也はどうなったのかとか、パラレルワールドと言いつつほぼ現代日本と西部劇の世界しか出てこないのはどうなんだとか、ストーリー的にはいろいろ疑問が残ったりするものの、アリサの意思と戦闘能力があればどんな苦難も乗り越えてハッピーエンドにたどり着いたのであろうと確信できるのであります。

 

【日記】宇宙飛行士の悪夢/『カンフー刑事』しもさか保

 猛烈に眠いうえ、頭がぼんやりしてふらつく。熱など風邪の症状は一切無い。死が近いのかな? と思ったが、どうも猛烈な肩こりと眼精疲労と慢性的な寝不足のせいだったらしくコフト顆粒飲んで寝たらよくなりました。コフト顆粒は死に効く! そもそもなぜ猛烈な肩こりと眼精疲労と慢性的な寝不足に陥っていたのかといえば『ガンダムブレイカー3』のやり過ぎが原因らしかった。高速で光を発しワチャワチャと動く小さなガンプラが無双している画面を数時間単位でじっと見つめていると血流がアレするのかもしれない。ガンプラは死に近づく! (以上です)

 


 

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 しもさか保の著作、だいたいkindle unlimitedかマンガ図書館Zで読める。1巻完結の『カンフー刑事』は、カンフー刑事というタイトルから想像できることが一切起きない快作であります。主人公にしてカンフーの達人・火龍仁は殉職した父の遺志を継ぎ刑事となる。普段着はもちろんカンフースーツ、素手で銃に立ち向かえるうえ、犯人がカンフー使いでも対抗できる! 銃弾をカンフーで受け止めるなど朝飯前、気功法で睡眠薬を胃から肺に流し込んで無効化、手錠をヌンチャク代わりにして振り回す等、やるべきことを4話目でやりつくしてしまったためそのまま終了した。
 格闘技漫画は星の数ほどあるが、カンフーを題材にするととたんにファンタジーになってしまう印象があるのはなぜだろうか。こんど『拳児』を読んでみようか…。

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気功があればマグナム弾にも勝てる

 

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無茶

 

【日記】恐怖のルート87/『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』

 免許更新ハッッッッチャメチャにだりぃなあ。これこそオンラインでできるようにしろよとブツりながら指定警察署へ。すでにどっちがアクセルか覚えておらずハンドル握れば惨事確定のおれが「優良」区分なのも片腹痛いが、死んだベトコンだけがいいベトコン理論と同じですね。「事故で亡くなった14人のうち、3人がシートベルトをしていませんでした」とのたまうビデオを見つつシートベルトしてるほうが死亡率高い結論に至らせるのはヘタなのではと考えているうちに講習が終わる。新免許ゲットの解放感に浸りつつ愛機にまたがり、フルスロットルで大気圏を飛び出しそのまま周回軌道に到達したという。

 


 

 アマプラで『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』観る。イタリアのチンピラ中年男性が核廃棄物に触れてスーパーパワーと鋼鉄の肉体を手に入れる。マフィアの抗争に巻き込まれつつもいろいろあって鋼鉄ジーグマニアのイカレ女を拾うことになる主人公。女に免疫のない彼は無理矢理なビルドアップからのバンバンバンバンで拒絶されてしまうが人前でパワーを発揮してよりを戻す。しかしジーグパワーの秘密を狙うマフィアが…というお話。話の骨子はぜんぜん鋼鉄ジーグではなくジョジョ5部の過去話みたいな内容。あまりにもしみったれていて泥臭い展開から一転、終盤で典型的なヒーローしぐさに目覚めてしまう主人公に違和感がなくもないが、「チンピラがベタな正義の味方になる」というド直球の描き方はやはり心にクるものがあります。佳作。主人公の指がブッちぎれて、くっつけようとしたけど普通に腐って落ちたシーンも良かったです。磁力ないのかよ。

【日記】地球はロボットの墓場/『ガンダムブレイカー3』

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 ヨドバシカメラのおもちゃコーナーでカップヌードルの1分の1プラモが売られていた。完成度と成形技術には驚愕したものの、プラモというのは本来手元に置いとけないようなものを置いておけるのが醍醐味なんだから、本物ソックリのカップヌードルのプラモを置いておきたいのなら素のカップヌードルを眺めてればいいのではと無粋シンクが頭をよぎったりした。こーいうおもちゃ売り場を見ていると「ガンプラ作りてえなあ」欲がムクムクとムクってくるのだが、まあ実家離れてから「プラモデルは置く場所が無い」ということを身をもって知っておりますからね。
 完成させても飾る場所が無い。苦労してポリキャップとプラ棒で関節増設してヤスリがけしてつなぎ目消して、サーフェイサー拭いてエアブラシで塗装してエナメル塗料で墨入れとウォッシングしても飾る場所ないですからね。理想としては完成させたガンプラをちゃんとポージングさせて、透明ケースで埃付かないように展示しておきたいんですけどそんなスペース無いですからね。ワンチャン1/144デナン・ゾンくらいなら…無いの? 出てないんだったっけ? なんにせよジ・Oだのデンドロビウムだのウルトラザウルスだのマックスマグマだの置いとくスペースうちにはありませんからねッ!
 せめてホビージャパンの作例でも眺めてガンプラ欲を鎮めようかと思えば、ホビージャパン自体もまあまあデカい。でけ~し重ぇ~の。ゼクシィの3倍の値段で厚さも3分の1なの。
 もはやプラモ自体が富裕層の遊びなのか~~~ッ!? という気さえしてくる令和デイズ。そこでわたしが提案するのが「あなたが完成させたプラモ、無料で引き取ります」というサービスです。完成品が売れたらある程度のマージンをもらえて、そうでないにしても処分してもらえるという。作り手としては小遣い稼ぎになる可能性もあるし、自分でゴミ箱に突っ込むよりは心理的にもマシだと思うんですよねッ、と熱くアピールするジャッカル佐崎さんを襲う虎たちの容赦ないツッコミの数々。次週、なんでんかんでん社長が下した決断とは?

 


 

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  それはそれとして自分で作ったガンプラを戦わせる無双ゲー『ガンダムブレイカー3』をクリア。今はトロフィーをちまちま集めつつさいきょうガンプラのパーツ集めに勤しむ日々。最新作『Newガンダムブレイカー』が近年稀に見るダダ滑りだったため相対的に評価がアップした3作目ですが、システム的な完成度はさすがに高く、アクションゲームとしてもガンプラシミュレーターとしてもたいへんイイ感じです。バーチャルガンプラなら置く場所も必要ないしね。ホビージャパンも電子書籍で読めるしね(雑誌読み放題サービス「dマガジン」でも読めたりする。おれはこれで読んでいるがやはり作例などはでけぇ紙の誌面で見てみたいとも思う)。

 本作は「パーツごとの性能差」が極力抑えられているのがミソで、レベルが同じパーツであればガンダムもZガンダムもゴッドガンダムもザクⅡもジュアッグもサザビーもすべて同じパラメータだったりします。ハック&スラッシュで様々な性能のパーツを獲得することができ、各パーツのアビリティを「合成」することでお気に入りのパーツを最強に仕上げるという楽しみがあるわけですね。まあGP-02の腕とシールドを装備していたら核が撃てる、みたいなパーツごとの固定武装はあるので全パーツが同性能というわけではないんですが、相当にカスタマイズに自由が利くのでガンプラにミリでも興味ある人なら楽しく遊べると思いまんた。

 

【日記】みな殺しの数え唄/『極悪伝』みなもと太郎

 自分以外誰もいない職場でお勤めしているうちにまた1つ歳を取ってしまいました。最近は自分が何歳かわからなくなることもままあったけど、今年は「ドンキホーテ・ドフラミンゴと同い年やん」って連想法でパッと思い出せるから便利ですね。昔コンバトラーVってアニメのエンディングで「身長57メートル、体重550トン」って歌詞があったおかげでコンバトラーVの身長と体重はメチャクチャ覚えやすかったですしね。身長57メートルの人も「俺って身長どんだけあったっけ? あ、コンバトラーVと同じかw」つってすぐ思い出せるんでしょうね。
 おれは塀の中に来てからずっと13302292番って呼ばれてるけど、こればっかりはなかなか覚えられませんでしたね。語呂合わせになりそうでならないし、こちとらにも尊厳ってものがあらあね。平蔵のアニキは何番でしたっけ。85074219(パソナ死に逝く)? いいじゃないっすかあ。

 


 

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 『極悪伝』、kindle unlimitedで読んであまりにも面白かったので購入。おれは『風雲児たち』を未修なので(歴史的教養と興味が皆無な為)みなもと太郎と言えばナンセンスギャグというイメージなのだが、この『極悪伝』とか『男の劇場』辺りの下ネタ交じりの作品は本当にしょうもなくて最高だと思う。

 『極悪伝』はエロ劇画誌の「漫画ピラニア」連載作品。みなもと太郎作品でよく見る顔のジジイと大口がヤクザの親分と子分の関係になって毎回騒動を繰り広げるというギャグ漫画だが組員はこの2人しかおらず、組の事務所も人里離れた山奥にあるのでな~~んにもやることがない。親分と子分の2人がお互いに殴り合ったりおちょくりあったりホモセックスをしたり死んだり生きたりするだけで、何一つ話が発展しない(ハッテンはしている)。

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唐突なスイカモズー

 あまりにも絵ヅラがむさかったためか、途中からタイトルの扉絵で美少女が煽情的なポーズで性器を見せるようになったが、本編にそんな子は一切出てこず、最初から最後までサイテーのギャグと脈絡のないパロディと多少の実験的手法をやらかしつつプツっと最終回を迎えた。最高としか言いようがない。

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ジョジョ4部の元ネタみたいなシーン