漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

必殺! 居合の浜/『新カラテ地獄変』梶原一騎・中城健

 次号のサークル誌について急遽話し合う必要ができたので、串カツ田中で編集会議という名目で飲む。ここでタコ焼きを作るのも久しぶりな気がする。しかし完全禁煙の店というのはやはり良いですね、おれも喫煙者だが。
 話はスムーズに進み、議題は今後の予定などの細部も含め、あっという間に決まってしまった。珍しいことである。こんなことってある? ひょっとしたら何かに化かされているんじゃないだろうか? はっと気が付くとそこは串カツ田中ではなく、寒風吹きすさぶ河川敷。タコ焼き機だと思っていたものは卵パックの空容器に土とミミズが詰まっているだけで、ビールはむじなのションベンであった。騙された~~!! 「その日以来だ、おれがむじなを狩り殺すようになったのは」男はひとりごちた。「東京にまだ、むじなが居た時代の話だ。あの頃は何かの拍子に人の世界と獣の世界が交わる事があったのさ」…安酒場サルーンにいる者は皆、男の言葉に耳を傾けていた。とうに人々の記憶からはタコ焼きも串カツ田中も失われて久しかったが、「むじな」という言葉の響きが持つ禍々しさは誰もが感じていた。あと男は普通に無一文だったのでボコボコに殴られ叩き出されたという。

 


 

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 『新カラテ地獄変』読了。この作品、当初は「真実の大山倍達を描く」というコンセプトのもと連載されていたと聞くが、せいぜいヤーさんとやりあっていた序盤はともかく、ナチスの残党、イタリアンマフィア、アラブの反政府ゲリラ、カストロじみた独裁者といった連中(たいてい銃で武装している)をカラテ一本でばったばったとなぎ倒していく中盤以降は「もう好きにしてください」としか言いようのないデタラメなパワーに満ち溢れている。やたら拷問シーンと「アヌス・ホール」という単語の登場率が多いのは『カラテ地獄変牙』ゆずりか。

 中盤から大山、じゃなかった大東の仲間になるアゴの長い凶悪プロレスラー、ゴルゴがいい味を出している。

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 アゴが長いうえに強烈なサディストで、傷だらけの身体と怪異な面相を持ち、アゴが長いという恐ろしい男だが、大東に惚れてからは大東のもう1人の仲間であるカンフーの達人(中盤以降まったく出番が無くなった)に嫉妬したり、元がサドなので女捕虜が拷問されている場面(前述の通り、だいたい25ページに1回の割合で誰かしら拷問されている)に興奮して大東にたしなめられたりと、ストイックが過ぎる主人公とは対比的に描かれており、なかなか可愛らしいオッサンであった。

 

 『ボディーガード牙』と『人間凶器』も電書化されてほしいですね。