漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

【日記】赤ちゃん暴走!/『新感染半島 ファイナル・ステージ』

 新年早々、差し歯が取れてしまいテンションが下がる。ここ数日、歯茎が腫れ気味だったので年明けたら診てもらおうかと思っていた矢先にこれだよ。もうおもちもかずのこもちくわもそしべなもししりしども食べられない。
 休日診療の歯医者に行ってみると「もう根っこが腐っているので行きつけの医者で抜いたほうがいいですね」と言われて追い出された。おれは腐っていたのか。年始休み明けまで不便だなあと考えつつファミチキを齧ると、上顎の前歯から犬歯までがすべてずるりと抜け落ちた。

 


 

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元旦は映画の日なので『新感染半島 ファイナル・ステージ』を観てきた。冷静に考えなくてもこのご時世、ここまでパンチの効いた邦題もないやな。大傑作ゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編だが、前作とはほとんど絡みがないので未修でもぜんぜん大丈夫。
 ゾンビ・アポカリプスのためわずか1日で国家としての機能を失った韓国。唯一、安全な地域は北朝鮮しかなかった…という導入の後、原題である『半島』(반도)のタイトルがバーンと出る。一瞬「おおっ」と思ってしまったが、北朝鮮はこの後一切出てこなかった。『日本沈没』のような国を失った国民のアイデンティティクライシスみたなものが描かれるのか? と勝手に思っていたのだが、実際はアクション・アクション・またアクションの超絶娯楽作なのであった。

 

 主人公の兄弟は韓国から命からがら抜け出して数年後、香港マフィアの下っ端として暮らしていたが、ある日ボスから「韓国にはまだ持ち出されていないマネーとか金塊とかがたっぷり残されているはずだべえ」と言われ祖国へと戻ることになる。ゾンビをやり過ごしつつドル袋の詰まったトラックを発見するも、そこへゾンビ・アポカリプスを生き延びたヒャッハー集団「631部隊」が来襲。仕事仲間たちは普通にぶっ殺され、兄は「ゾンビ鬼ごっこ用奴隷」としてさらわれてしまう。イケメンの弟は天才的ドライビングテクを持つ長女+ラジコンオタクの次女+その親であるアサルトライフル使いこなしまくりママン+狂った祖父という一癖ある一家に助けられ、共に半島脱出を目指すのであった。

 

 メインの敵は631部隊の面々なので、本作でのゾンビの立ち位置は少々微妙である。「タイミングよく敵にぶつけて動きを鈍らせよう!」という、ほぼピクミンと変わりない扱い。全体的に「強すぎる主人公補正」「オープンワールドのゲームっぽさ」が漂っており、前作とは別物感がすごい。『ゾンビ』に対する『死霊のえじき』の立ち位置と似ている。個人的にはカーチェイスが不要だったかな…。631部隊がヒャッハー集団なのもあって(本当に「ヒャッハー」というセリフがある)一気にマッドマックス味が強くなるし、そもそもゾンビとカーチェイスは相性が悪いんだよ! 『デッドライジング』の地下駐車場で延々ゾンビを轢き続けたの思い出すから!(超個人的意見)

 他作品との差別化や個性という点ではちょい薄れてしまった気もしますが、やっぱこのご時世にここまでストレートな娯楽ゾンビ映画を観られることはありがたいですね。ラストのド演歌なコテコテの展開も好みでした。