漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

【日記】掟破りの監獄ロック/『ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー』

 1月上旬はゲボ年末進行のあおりを受けて死んでおり、ようやく一息つけるネとなった途端にここ10数年で最悪レベルにタチの悪い風邪をひいて丸一週間寝込んでいた。風邪だろうがインフルだろうが薬飲んで3日も寝ていれば治っていたのだが、今回は薬を飲み続けてもなかなか快方に向かわなかった。心折れかけたよホントに。
 先週の土日に熱を出して寝込み、週明け最速で近所の病院に行くと防護服でバッチリ防御した医者に検査され、その日中にPCR検査を勧められる。検査場は混乱を避けるためか当事者以外には知らされない秘密の場所にあり、情報を漏らさぬようにと念を押されたりする。
 PCR検査は2回目だが、前回の5分の1以下の値段で済みました。結果は普通に陰性だったのだが、コロナであろうとなかろうと症状は普通にキツく、熱出して寝込む日々が最近まで続いておりました。今? 今は元気! もうブリンブリンに元気! 5日間以上カフェインもアルコールも録らなかったのも10数年無かったこと。健康過ぎて気持ち悪いくらい! と奇声をあげて環七通りに飛び出すもたちまち爆走トラックに跳ねられ、亡骸はなんでんかんでん跡地を突き破って遥か遠くへと…。

 


 

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 『ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー』NETFRIXで観る(アマプラでも配信中っぽい)。陰キャ2人が卒業前夜のパーティで大逆転を狙う! というアメリカ青春映画ではおなじみ過ぎるフォーマットを丁寧に換骨奪胎、今風にアップデートした良作。
 ガリ勉で生徒会長のモリー、大人しめでレズビアンのエイミーは親友同士。卒業式前夜、陽キャ連中が自分の悪口を言っている現場に出くわしたモリーは「私は名門イェール大学に行くけど、あんたたちは手コキ大学がお似合いね」と挑発。しかし陽キャたちは自分と同じイェール大、はたまたスタンフォード大、もしくはgoogleに就職と、モリー以上に輝かしい進路が決まっていたのであった。「陽キャは手コキも勉強も頑張っているんだ」とショックを受けたモリーはエイミーを半ば強引に引き連れ、卒業式前夜の陽キャパーティに出席して高校最後の夜を楽しもうとするのでありました。

 この手の映画はだいたい「陽キャざまぁ」系と「陽キャも大変だネ」系に分かれると思うが、本作は後者。陽キャも陰キャも、男も女も、生徒も教師も、親友も知らん人もみんなそれぞれの事情があるんだなということを知り、主人公らの視野が一皮クリアになるという成長譚です。あと主人公が「童貞のアホ男子」じゃなくて「意識高いアホ女子」(=booksmart)なだけでだいぶ雰囲気が変わりますね。
 主役2人のベストコンビっぷりも完璧。モリーは行動がいちいちギャグ漫画で、何をするにも空回りしているがパワフルなのは間違いなく、根も悪い人間ではない(作中人物からはともかく、視聴者レベル視点では不思議と不快感がない)。「私はLGBTに理解があるから」と言い放つ一方、エイミーにカミングアウトされた際は「貝合わせし放題じゃん」「クリから狙って!」等のアドバイスしかできず普通にイヤな顔をされたりするが、そんな誤解されがちな彼女をしっかり受け止めてくれるエイミーは間違いなく無二の親友なのだ。エイミーもエイミーで、普段はおとなしいのに爆発するとトンデモない行動を取るタイプの陰キャなので推進力と抑制力を兼ねたモリーの存在はけっこう彼女にとって重要なんである。久々に明るい映画を観させてもらいました。