漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

まじめにやろうよチンドン屋/『悪の教典』貴志祐介

 TOKIOが「生き残らナイト!」とか言ってる『フォートナイト』のCMを見るたびに生き残れなかったメンバーのことが頭をよぎりますが、それはそれとして土日は盆休みで実家に帰れそうです。土日の消化が盆休みに入るのかはともかく。 

 前も書いた気がするが、とりあえず実家にアホほど積みあがっている本を片付けろと怒られたのでそれをアレするのも目的の1つです。処分優先度としてはとりあえずジャンプコミックス→その他の週刊少年コミックス→わけのわかんねえ漫画本→ジャンプスーパーコミックス、の順になるかと存じます。あと『異形コレクション』全48巻とか「筒井康隆全部」とか「レイ・ブラッドベリ全部」とか、今後の電子書籍化の可能性だのなんだのを見越して手放していいものやらどうか、いろいろと考える必要があるので2日3日の逗留ではたいして捗らないと思われます。マス寿司と富山ブラック食って適当に寝て過ごすか。

 


 

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 『悪の教典』上下巻。以前の日記に書いた『クズとメガネと文学少女(偽)』で紹介されていた小説だが、大変面白く一気に読んでしまった。

 まあこういう話です。主人公の高校教師・ハスミンこと蓮実聖司はハンサムで爽やか、頭もよくて授業も面白い、生徒ばかりか同僚・PTAからも絶大な支持を得る有能な英語教師だが、邪魔者は平気で殺すサイコパス殺人鬼でもあった。自分以外の人間を手駒としか認識していないこの男、ふとしたきっかけで自分の過去がバレそうになったため、文化祭前日の夜にクラス40人全員の皆殺しを計画する。

 『バトル・ロワイヤル』は生徒同士の殺し合いだったが、これは教師が生徒を一方的にブチ殺して回る最終青春白書。往年のスティーブン・キング作品のような味わい…数多くの登場人物を印象的なエピソードを積み重ねつつ丁寧に描写し、最後はほぼ全員死んでグチャグチャになるという古き良きモダン・ホラーの味わいが全編に充満していてとてもよい。教訓ゼロ! エンターテインメントの極致!

 ハスミンが「単に頭のおかしい奴」ではなく、終始「共感性が致命的に欠如している」という描かれ方をしているのはポイント高く、サイコパス警察もニッコリ。ただいくらなんでも「クラス全員皆殺し」はヤケクソにしか思えず、天才的な頭脳を持つ彼がだんだんいきあたりばったりのクソザコ犯罪者にしか見えなくなっていくのは皮肉でもある。いかにも映像映えする本作、映画化・コミック化された作品もいずれ観て&読んでみたいものだ。文庫版に書き下ろされた追加エピソード「アクノキョウテン」は卒倒しそうな内容でこれまたいろんな意味で素晴らしい。