漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

海は青かった/『恐怖漫画短篇集 孤独』

 1日だけ取れた盆休み、プレステ4で遊んでいるだけで終わってしまう~ッ! 貴重な休日を無碍にするのもアレなので、静岡県の郷土料理・釘ぢくわを作ることにした。
 釘ぢくわはちくわに釘を詰め込むだけのシンプルな料理。浜松など県西部ではちくわの真ん中辺りが膨らんだ形がポピュラーらしいが、東部では釘の先端が何本か横から飛び出しているほうが粋とされる。どちらにせよちくわが破けないよう気をつける必要があり、おれのような素人だと菜箸を使わないとうまくいかない。熟練のおばちゃんならオナホを洗う要領でちくわを裏返しにするようにして広げ、ひょいひょいとスムーズに詰めていく。また、釘ぢくわは郷土料理と言われるが食用ではなく、暴漢や不貞の妻の頭に振り下ろすのが主な使い道らしい。
 奮闘の末、形は不格好だが8本の釘ぢくわが完成。ひとしきり眺めてから捨てる。

 


 

   『恐怖漫画短篇集 孤独』読了。良い感じでエグい10作が揃ったホラー漫画アンソロジー。クラウドファンディングで創刊された「ホラーコミックレザレクション」とは異なり、過去の単行本未収録作品が中心となっている。

 筋立てはシンプルながらこの作者の描く男子女子は相変わらずかわいいなと再確認できる「窓のむこうがわ」(稲垣みさお)。幼女漫画テイストで描かれるバッドテイストの極み「ママのハンバーグ」(杉原那月)。元ネタがさっぱりわからない異形の群れがインパクト残しすぎる「恋焦がれる島」(真山創宇)。鏡とコオロギというモチーフの組み合わせが独創的な「鏡地獄」(崇山祟)。“今現在にも伝わる山の怪異”の描き方が上手く、オチのサプライズも効いてる「山童」(加藤山羊/矢樹純)。姑にいびられている若妻が伝染病の浮浪者にレイプされて奇形の子供を妊娠するという、不幸モノのテンプレをただただ詰め込んだ引き算を知らない怪作「人間の形をしていない赤ん坊」(神田森莉)。ツノの生えた女子中学生が男の子の腹を貫いてしまうという異様な導入に異様なオチ、異様なグロ描写が読者の心を穿つ「刺す!」(柴原むかで)。『ドカコック』の作者がこんな短篇を!?と驚いてしまう、幻想的で美しいグロテスク短編「湿っぽい部屋」(渡辺保裕)。これぞホラー漫画!という徹底的な容赦のなさが凄い「夢」(小津哲也)。終わりの無い不安、出口のない迷宮に読者を放り込んだまま本書を締める「見知らぬ女」(近藤宗臣)。「どれも素晴らしかった」という月並みな感想になってしまうが、ホントそうなんだもん。ホラー専門誌がすっかり減ってしまった昨今、こういうアンソロジーなら無限に読んでいたいですね。