漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

火炎地獄に何を見た/『恐怖の口が目女』崇山祟

 夏。暑い。眠れん。仕事したくない。ライフハックを披露してしまうが、こういう時に役立つのがハッカ油であります。夏はスプレータイプのものを使っているけどマジ便利。出かける前に靴下にサッと一吹きすれば体感温度が5℃は違うし臭くもないし、生家飲み時にチューハイにプシュっとかけるだけでさわやかなミントハイになるし、ゴミ袋にぶっかけておけばムシも湧かないし…衣・食・住のすべてをカバーする完全マテリアルじゃね? あとハッカの匂いは自然界の動物はたいてい嫌うので、こうやって服に吹きかければ低級霊を寄せ付けないため対魔防御力もアップ! コックリさんで試してみましょう。コックリさんコックリさん。面倒な手順は省いて入れ! 入ってみよ! おい、入れ。ねえったら。逃げるな!

 


 

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 それはそれとして崇山祟『恐怖の口が目女』。いま2018年!? と思ってしまう素敵な表紙に加え、2色刷りの誌面に天久聖一との対談、描きおろしマンガと豪華な内容。最高の一言。

 装丁はひばり書房コミックスをはじめとするホラー漫画レーベルのオマージュで、絵柄もなんともレトロな雰囲気。しかも、作者による本作のテーマソングまで公開されている。

 力入れすぎ! しかもかなりの名曲!

 というふうに「懐かしのアレを再現してみました」感が無くも無いのだが、『口が目女』はそんな生易しいものじゃないぜ。序盤のなんだかよくわからない微妙な間、とりあえず過去に視点を飛ばして壮大な感じを出す手法、ビックリな場面転換…。適当なんだか計算され尽くしているのか、さっぱりわからない謎のグルーヴ感。ラストまで読み終えた時の「こんなの、ホラーじゃなきゃ味わえねえよ!」というすさまじい感動。スタンディングオベーションを送らざるを得ない。

 なんというか、ガワだけじゃなくて作品の「本質」も完璧に当時のアレなんですね。「描きおろしのホラー単行本」でしか味わえない。同じリイド社刊の『魔装番長バンガイスト』が、完璧に「70年代特撮」ならではのダイナミック感・適当感・マッタリ感を醸し出していたのにも通じるところを感じました。好きだからこそ描ける、の究極形態の仕事を見た。

 唯一無二のSF伝奇ホラーミステリー、『恐怖の口が目女』。個人的には今年のベスト10入り確定。