漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

怪獣 この劇的なる生涯/『ジガ-ZIGA-』佐野ロクロウ・肥田野健太郎

 今週は『わたモテ』の更新があったり、夏のアニメが始まったり、『Dead by Daylight』(PS4版)や『LET IT DIE』の大型アップデートが続けさまに来たりで、すっかり睡眠不足の日が続いてしまった。今日くらいはゆっくり寝ようと、クーラーをガンガンにつけてギャバをガンガンに摂って「キリン サプリ」快眠サポートを飲んで眠れるだけ眠ってやり、目が覚めたら平成も昭和も終わっていたので困惑しているところです。僕らの夏は終わりの始まり。

 


 

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 ジャンプコミックス『ジガ-ZIGA-』1巻。主人公の高校生・蜂鐘コウはスポーツ万能で絵もうまいし音楽も得意なのでどの部からも引っ張りだこ、幼なじみの彼女もいるし高校生活を満喫しまくっていたが、ある日東京に突然巨大怪獣が現れて恋人も母親も死んだ。すごく落ち込んだ主人公は怪獣やっつけ隊に入隊、すごい才能を発揮してすごい武器を扱ったりして活躍する。

 1巻発売前に本誌で打ち切られてしまった、もったいないとしか言えない作品。第1話でわりと丁寧に主人公とその周りの人間模様を描き、それが怪獣(通称・ジガ)の登場でぶっ壊されてしまう様は「これ今どきのジャンプ連載?」と面食らってしまうほどに残酷だ。とある「最初のどんでん返し」が描かれるのが5話目くらいなのだが、それを早いと見るか遅いと見るか。序盤でじっくり描くタイプの話はジャンプではウケが悪いのだろうか。

 

 人間キャラは実に魅力的なのだが、そもそも本作の主人公は怪獣である。老害ジジイ丸出しのケチをつけてしまうが、この「怪獣の暴れっぷり」には少々不満が残った。本作の大怪獣・ジガは『ハカイジュウ』に出てくるようなクリーチャー系ではなく、ちゃんと怪獣のフォルムを持っており、なかなかカッコよい(むしろ精悍過ぎるくらい)。おかげで、逆に大暴れシーンが妙に印象に残らない。必殺技は「人体破壊光線」なことで、手から発射するビームで生命体だけを破壊するという虐殺兵器なのだが、効率的過ぎて逆に恐ろしさを感じないのだ。ぶっちゃけ本作は『進撃の巨人』怪獣版なのだが、少なくとも1巻の時点では『進撃』のようなビジュアルインパクトには欠けている。あまりに過ぎた残虐行為をジガにさせるわけにはいかないのもわかるのだが、もうちょいバンバン暴れてほしかったな~というのが本音ではあります。

 

 先ほど述べた通り、人間キャラはみな良い感じです。1話で死ぬヒロイン、うさん臭いやっつけ隊の上司、無駄に乳のでかい女軍人、2巻以降で活躍するツンデレのアンちゃんなどなど…。中でもネットのごく一部を中心にブレイクしたキャラが「命令者ちゃん」(本名不明)であります。

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  避暑地のお嬢様のような優雅な服装ながら、凶悪なギザ歯と爬虫類の瞳を持つ彼女。一見すべてお見通しのような黒幕的な立ち位置で登場しつつも妙に脇の甘い言動を見せたり、わりと全体的にポヨポヨだったりと、狭い性癖へのスキマ営業狙ってるとしか見えない最高さで大変よろしかった。彼女の本格的な活躍は2巻からになりそうです。

 

 なんだかんだで、漫画ではわりと難しい「怪獣退治」という題材にジャンプらしさとヒネリを入れつつ、真っ向から挑んだ力作でした。2巻の描きおろし話も楽しみに待ちますよ。