漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

ドリー夢/『脳内治療ブレーン・キュア』稲垣みさお

 人通りの少ない住宅街を歩いていると、玄関が開きっぱなしの不用心な家。よっしゃ! と金目の物を物色していると、いつの間にか住人が帰ってきておれの後ろで困惑している。よく見れば年に1回くらい会う、友人とは言えないくらいの知り合いとその奥さんではないか。まずい。顔は知られているから今さら逃げるわけにはいかない。なぜ勝手に家に入り込んでいるか、ギリギリ説明できそうでできなさそうな関係性だ。なんとかうまい言い訳を考えられないものか…。
 というのが初夢で、ロクでもなさすぎるので早くも今年終わった感がある。夢だからと言って簡単にアンモラルな行為に及ぶのはいい加減やめてほしい。違法行為を楽しむなら現実でネ!(フルチン出勤からのスピード拘束)

 


 

 Kindleでそこそこ稲垣みさおのホラー漫画が読める。性別問わず色気のあるキャラクターと、予想外過ぎる展開が織りなすグルーヴ感がたまらない。『猟奇伝説アルカード』はホラー漫画ではよく見る「何かと引き換えに願いをかなえてくれる不思議な人物」、まあ喪黒福造タイプのアレなんだけど、悪人も善人もほぼもれなく不幸になる容赦のなさが最高。6巻でわけのわからないテコ入れが入り、やや「いい話」路線になったのは気になるけど。あと『死体処理請負人アマネ』はサイコホラーに見せかけたほのぼのオバケファンタジー。Unlimitedではないが。

 

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 わりと見逃せないのが稲垣みさおの「ホラーM」掲載短編集で、紙の本ではまとめられていないようなので貴重。正直なところムチャクチャな作品が多い。ホラー漫画の読み切りなんて勢いで突っ切っちゃえという気もするが、プロットや展開に矛盾が無いものが無いというのもエラいことである。

 

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 Googleブックスでは無料で『脳内治療ブレーン・キュア』冒頭の2作品+3作目の前半が読めるが、この3作がどれもトンデモない。「戦国の少女」はタイムマシンが木に引っかかって故障し(そんなんで!?)、過去に取り残された主人公と戦国時代の少女との邂逅を描いているのだが、SF設定もラストの展開も極限に出鱈目。タイムパラドックスがどうとかいう次元じゃない。ラストのあれは誰がやったんだ? 2作目「愛情靴下」はサンタクロース(実は日本古来の妖怪)をゲットするために巨大な靴下を編む女の話というあらぶり過ぎたあらすじで、ギャグかと思いきや途中で一気に陰惨になる。3作目「移動旅館(伊能忠敬より)」は、怪異が起きる原因となった事件が伊能忠敬とまるで関係ない。強引さがすごい。なぜ伊能忠敬を…。他の短編集2冊もまっとうなホラーもあるが基本怪作だらけで、それでいてホッコリできたりもするので唯一無二の味わいとしか言いようがないです。