漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

おれはロボット三四郎/『花の太一郎』松田一輝

 職場に向かう途中、平日木曜日なのに学生の群れとエンカウントし、「なぜこんな時間に? テストの時期にはまだ早いし…」と訝しく思ったりしたが、よく考えると夕方4時なら部活のない生徒は帰宅してもなんの不思議も無いし、いくら最近『ANTHEM』のやり過ぎで生活リズムぶっ壊れてるとしてもそういう一般的な常識から自分の感覚が遠すぎることに戦慄したりもしたし、そもそも夜勤でもないのに4時に職場向かうのもどうかという気もしたし、いろいろな想いがあふれ出てきて死んだという。

 


 

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 『花の太一郎』読了。きちがい野球漫画の雄『スーパー・プロ野球軍団物語 愛星団徒』の作者、松田一輝先生の作品。 
 要はメチャクチャ強くて漢気のある太一郎クンがある時はケンカをしたり、またある時はケンカをしたり、場合によってはケンカをしたりするバトル番長ものである。全5巻だが、ものすごい尻切れトンボの話で終わっている。連載当時は最終回が収録されるはずの6巻が刊行されていなかったのだが、電子書籍でも未完のままである。
 松田先生の傑作トンデモ番長漫画『ドッ硬連』と比べると、主人公の強さの理由がまったくわからず、アップになると口が消えるくらいの個性しか感じられないので読んでいて引き込まれる部分が無い。ヒロインはありきたりだし、悪いやつにしても「私は悪いから悪いことをします!」みたいな感じで行動理念が無いし、率直に言えば全員が薄っぺらいなあ…。
 といった感じでイマイチ乗り切れないまま淡々と読んでいたのだが、4巻のラストに登場する敵組織の刺客「幻夢」はスゴかった。こいつは名前の通り相手に幻を見せる能力を持ち(具体的にどういう手段で見せているのかはまるで説明されない)、太一郎とヒロインを地獄界なる幻覚の世界に突き落としてしまう。地獄界の幻覚は雷が轟き、大地が割れ、火山は噴火し、海は荒れ、宇宙に星がきらめき、なんか知らんけど渦がグルグル回転していたりするというもので、この勢いだけはあるが何が起きているのか完全に意味不明な描写が3話ぶん続く。月刊連載なのに…。

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 こんな感じで計90ページくらい、太一郎は幻覚の世界をさまよい続ける。『愛星団徒』の最終巻と同等の読者置いてきぼりマンガである。最終的に幻夢と真正面から対峙した太一郎は、謎のエネルギーを発して幻覚を打ち破り、「こんなエネルギーの持ち主がいたとは!」と驚いた幻夢は腹を突き抜かれて死ぬのだが、具体的に何のエネルギーがどうなったのかはサッパリわからなかった。たぶん未収録の回を読んでもわからないままじゃないかという気がします。