漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

【日記】孤高のスタンドプレイヤー/『ゴーストランドの惨劇』

 今日もPCR検査の抗議脱糞に赴くため、同志たちと待ち合わせ。喫茶店に入ると、我らの同志と思しきNOマスクのおじいさんがレジ係のマス愚民(マスクに魂を囚われた愚民の意)に入店拒否という鬼畜の所業を受けている現場に出くわす。助太刀に入ろうとした瞬間、おじいさんは「あなたが思うより健康です!」「一切合切凡庸な、あなたじゃわからないかもね」とバッサリ。これには店内の客も思わずスタンディングオベーション! 我々も「うっせぇわ」の大合唱。そこに居眠り運転のクレーン車が横転して突っ込み、客と従業員あわせ17名が即死したという。

 それはともかく、しばらくはこの疫病と延々付き合っていかなければいけないという事実を受け入れられず極端な思想に陥る人は減らねぇですね。3.11以降もよく見たけど。「コロナはただの風邪であることが判明!→ワクチンで儲けようとした死の商人が軒並み逮捕→スカットJAPAN!!」とか、その逆で「マスクしない運動をしてる連中のあいだにクラスタ発生!→【悲報】「やっぱりコロナはただの風邪じゃなかった…」NOマスク界隈大反省→スカットJAPAN!!」みたいな展開にはなかなかならないんじゃないでしょうか。

 


 

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 Amazon Primeの観放題に『ゴーストランドの惨劇』が来てたので観る。Vtuberのぽんぽこが2020年のベストに入れていたので気になっていた1作。

 いきなりH・P・ラヴクラフトが登場する開幕からツカミはばっちり。気丈な母親、ウェイ系でややウザめの姉、ホラー小説作家志望で見るからに陰キャの妹の3人一家は、亡くなった叔母の家に引っ越すため車を走らせていた。しかし引っ越し先の周囲では「家族皆殺し殺人鬼」による事件が続発、犯人もいまだ逃走中…という冒頭から、やっぱりネという感じで当の殺人鬼による理不尽な暴力が一家を襲う。しかし、この惨劇は文字通りの序章でしかなかった。

 惨劇を生き延び、ホラー小説作家として大成した妹のもとに、電話で姉からの絶叫が届く。「助けて!奴らがやって来る!!」あの日以来、完全に発狂してしまった姉は母親ともに幽閉同然のまま、当時の忌まわしき家に住んでいるのだ…。

 

 本作にはいろんな要素の「恐怖」が多重的に描かれている。圧倒的な抗えない暴力への恐怖。愛すべき家族の存在が呪縛へと変わってしまうことへの恐怖。狂っているのは誰なのか、自らの立ち位置が揺らぐことへの恐怖。中盤までは「描き方は違うけど『ヘレディタリー/継承』みたいなテーマなんかな~」と思ってたんですが、最終的には全然違いました。軽いネタバレをするなら、『ゴーストランドの惨劇』というタイトルも冒頭のラブクラフトの登場もブラフの一種で、すれたホラー観客のおれはすっかり騙されてしまった。なんかもうね~~、マジすごいんスよ。説明しちゃいけない類の傑作。グロテスクな描写も、コケ脅しのびっくり描写もほとんど無いのに圧倒的に怖い。ひさびさにやられました。完敗。傑作。