漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

【日記】悪魔博士の実験室/『闇のシャイニング』スティーヴン・キング他

  本棚が崩壊してきたので早急に手を打たねばならない。中身はこれ以上減らせないので本棚を買い替えるしかないのだが、めんどくせ~~~~~~。新しい本棚を探すのもそれを購入して組み立てるのも本を入れ替えるのも古い本棚を粗大ゴミに出すのもすべてが壮絶にめんどくせ~~~~~~~。買い替えたところでクオリチーオブライフの向上に直結しなさそうなところもめんどくせ~~というかテンション上がらね~~~。半年以上かかりそう。
 というわけで、無理を承知で断捨離するしかないという結論に至った。要は捨てたくない本を捨てたくなるようになればいいのである。まずは作者のプライベートをよく知ることから始めた。SNSでの気の緩んだ発言、私生活のだらしなさ、ポリティカルコレクトネス的によろしくない過去の所作、調子こいたプロフィール写真等、そういうものを掘り返していくうちにどんどんクリエイターの増上慢が嫌いになり、人間が書いたもの・描いたものというだけで吐き気を覚えるようになったためすべてを焼き捨て、何のインプットも出来ず空虚な晩年を過ごしたがそれでも足らずに自らの両目を潰して狂笑した、ということになるのもよくないと思うので今度ニトリに行ってきます。

 


 

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 『闇のシャイニング リリヤの恐怖図書館』(扶桑社文庫)読了。世界最大のスティーヴン・キングファンサイトの管理人が編んだホラー・アンソロジーで、いずれもキングの作風にオマージュを捧げた短編となっている(エドガー・アラン・ポーの「告げ口心臓」除く。これ以外は日本では初訳の作品ばかりである)。年間ベスト級の傑作もある一方で、しょうもない作品はだいぶしょうもなかったりするが、この玉石混交っぷりも含めてキングらしいといえばらしいかもしれない。『骸骨乗組員』とか『深夜勤務』辺りのキングだ!

 巻頭は書籍初収録となるキング幻のレア作品「青いエアコンプレッサー」だが、まあ幻のままでもよかったような評価に困る珍作。凡庸な作品に禁じ手のメタ要素をブチ込んだ結果、特に効果をあげられずに終わったという大惨事だが、大学生時代の作品らしいし資料的な価値はあるかもしれない。
 個人的に気に入ったのはケッチャム&カセックのシンプルながら出来の良いミステリ「ネット」、往年のキレのよさを感じるクライヴ・バーカーの冒涜的聖者譚「ピジンとテリーザ」、リチャード・チズマーのあまりに哀切なゴースト・ストーリー「世界の終わり」、やっぱりラムジー・キャンベルはスゲエなと思わせるカーニバル×幻想の不穏すぎる一編「道連れ」辺りか。巻末はスウェーデンのスティーヴン・キングと評されるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト(覚えにくい)による「キーパー・コンパニオン」で、TRPG「クトゥルフの呼び声」がキーアイテムとなるホラーだが、これがまた傑作なんよ~。いいんよ~。少年の肥大する自意識、その象徴たる不気味なクリーチャー、「青春の1ページ」の切り抜きかたの巧みさ、なんとも“キング”印な短編でありました。
 総じて、オリジナル・アンソロジーとしては悪くない1冊だったと思います。ファンサイトやってたらこのそうそうたるメンバーでアンソロジー組むまでコネ作れました、てのは素直にうらやましいよなあ。