漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

【日記】幻の疾走/『味ラクルボーイ』寺島優・小島利明

 来年の正月くらいは実家に帰っていいかもなと考えていた矢先に第三波到来などと騒がれ始め、また雲行きが怪しくなってきた。ようやく最近はイベント取材だの対面インタビューだのの機会が増えてきたなと思っていたらこれだよ。少しは対策が進んだかと思いきや、見据えるべきゴールも常に先に進んでいるというこの状況は「アキレスと亀」という有名な逸話を思い出させる。

 昔、ギリシャにアキレスという足の速いおじさんがいた。アキレスはチンポも相当にでかかった。ご存知の通り古代ギリシャでは全裸でスポーツを行う習わしだったため、駆け競べをするとアキレスよりも彼の亀自身が先にゴールすることになった。一部の人々はギリシャ最速はアキレスじゃない、アキレスの亀だとやっかんでいたが、アキレスは亀を邪険にすることなく、共に喜び、共に泣き、時には話しかけ、時にはさすったりしながら生涯の友として末永く付き合ったという。このアキレスの逸話を基に牛次郎先生が原作を書いたのがかの名作、『やる気まんまん』であると言われている。以上の話がコロナ禍とどう関係してくるかと言われると何も関係ないのだが、いつの世も頭のおかしい人はいるという教訓になるだろう。

 


 

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 『味ラクルボーイ』(原作・寺島優、作画・小島利明)Kinele Unlimitedで読む。掲載誌「コミックバンバン」についてはググってもほとんど情報がなく、たぶん青年誌なのだろうなくらいのことしかわからない。
 表紙を見ると定食屋のせがれがさまざまな工夫でグルメ勝負を展開するまんがのように見えるが、だいたい合っている。主人公・香月慎吾は定食屋を追い出されるが、テレビの料理対決番組で工夫をこらしたコロッケを作り、ユニバーサル料理学園の特待生となる。ライバルたちはみな性格が悪く、陰口をたたいたりなんのためらいもなく人をグーで殴ったりするが慎吾もたいてい口が悪いので(相手を前に「豚マン」「すごいデブ女」くらいは普通に言う)お互い様であった。

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両者とも口が悪い

 お話自体はわりとツボは押さえており、ライバルたちにもそれなりのエピソードを用意していたりして構成が単調にならないよう気を配ってはいるのだが、肝心の料理自体が地味で「食ってみて~~~」という気にまるでならない。じゃあ実用的な料理知識が得られるかと言うとそれも怪しいモンであり、終盤で主人公が作る結婚式用のサプライズ料理などは「マザーグースを再現!!!」とか言って、パイを切ると中から生きたハトが飛んでったりする。食えるかそんなもん。

 

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ハト以外の具は?