年末辺りから激ヤバだった労働が一段落つきまんた。一時期は頭を使いすぎたせいか他人との会話も「キシーーーーーーーーーーーー」「モペペ」の2語だけで済ませていた。
おかげで生活パターンもすっかり変わってしまった。『Fit Boxing』もぜんぜんやれてないし! 買ってきた漫画を読むヒマすらねえし! そのわりにはユーツーブの東映特撮チャンネルは毎日のように見ており、特に『キカイダー01』の深いのか浅いのかさっぱりわからない人間ドラマ(というか人造人間ドラマ)にはかなりの感銘を受けた。昔の特撮番組は発見が多く、「情念がこもっていると同時にいい加減」というスタンスには脱帽する。あと『ウルトラマン』シリーズってなんだかんだで完成度の高さは段違いだよなとか。
ゲロ労働中、1日だけ休みを取れたので観に行った映画が『ブラック・シープ』。2006年のニュージーランド映画が紆余曲折(具体的に何があったか知らんが)を経てようやく日本公開。一言でいえば傑作であり、賞味期限切れかけの具材をOH!MYコンブばりに稚気交じりの工夫で極上ジンギスカンに仕立てている。
遺伝子改造を受けたヒツジが人食いの怪物に変貌、ヒツジに噛まれると伝染しどんどん仲間を増やしていくという、夜になったら布団を敷いて寝るみたいな安心と定番のお約束展開ながらダレる部分が一切ないスピーディかつ濃厚な展開。アクの強い登場人物に安っぽさのない特撮、ツボを押さえた笑いとこの手の映画に必要とされるモノをすべて備えている。CGっぽさが無く特撮がかなり上出来なせいで、劇中で人食いヒツジを退治するシーンなどは本当にヒツジをボコっているようにしか見えない。…ボコってないよね?
ヒツジに噛まれるとヒツジ人間になるという、昨今の動物パニックでは特に珍しくも無い展開にも一捻り加えられている。要はゾンビの亜種なのだが、なんせ元がフワフワモコモコのヒツジなのでそんなに怖くないというか、笑えるポイントになってしまっている。では家族でニコニコ見られるコメディ映画かと言われればそんなことはなく、エグいシーンはとことんにエグい。どの方面にも忖度しない「やってやれ」感を見るにつけ、『ブレインデッド』や『バッド・テイスト』を生み出したニュージーランド映画界はさすがのさすがだなと思うのでした。