漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

TOKYO切り裂きジャック/『Deep Love REAL』Yoshi・Tetsu

 露出系ヒューマギア・サオダス君として駅前や交番、渋谷スクランブル交差点での露出に励んでいたジャッカル佐崎さんだったが、自我が芽生え始めた彼を狙って邦画の安いサイコパスみたいな男が出現。「私の仕事は…人類の前で出すことです!」公然猥褻.netに接続、鼻行類マギアへと変貌し駅前や交番、ススキノ交差点での露出に励む佐崎さんを撃ち抜く無慈悲な銃弾…。(The elevation increases as the bullet is fired.)

 


 

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 『Deep Love REAL』読了。ケータイ小説の嚆矢『Deep love』を『天然少女萬』のこしばてつや先生がTetsu名義でコミカライズ。オリジナリティ要素が多く、全19巻中で原作の内容を忠実になぞっているのは後半の16~19巻だけだったりする。

 原作『Deep love』を全巻読んだ人、読んだうえで内容を覚えている人は令和にはいないと思うので解説すると、第1部「アユの物語」は、要はかわいそうな女子高生のお話。主人公・アユはホストの彼氏に貢ぐため優しいおばあちゃん(他人)の貯金150万を盗むが、そのお金はおばあちゃんの養子・義之の心臓手術のためのお金なのであった。その後おばあちゃんは死んだしホストも殺されたので、援助交際でお金を稼ぐアユなのであった。その後アユはエイズで死ぬが義之は心臓手術を受けられたのであった。で、成長した義之少年がホストになって、指名ナンバーワンに上り詰めるまでのお話が第2部の「ホスト」であり、本作のメインパートとなる。

 ぶっちゃけ、面白いのは原作展開になる前の15巻までで、義之がわりとまっとうな手段で昇り詰めていく「ホスト泣き笑い繁盛記」をワクワクしながら読んでおりました。義之の同期で、あきらかにホストに向いてないデブちんの隆(たかし)がいい味を出しており、彼が少しずつホストとしての矜持に目覚めていく様はかなり読みごたえがある。義之じゃなくて隆の成長物語だよな、これ。こしば先生ならではのバトル展開、一癖ある女の子たちも良いアクセントです。

 だからこそ、やっすい悲劇のつるべ打ちが始まる原作時空に巻き込まれてからの展開は読んでてツラいものがある。あんなにみんな仲良かったのに…。最終巻は原作だと悲劇を通り越して胸糞でしかないラストを省き、希望もある程度感じられる場面でシメられているが、まあ、やっぱ15巻まで読んでおけばいい気もする。