漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

悪党仁義/『ヘルバスター』巻来功士

 ちくわに釘を詰める反社会勢力との闇営業(人狼やマジック・ザ・ギャザリングの対戦相手になる)が発覚、無期限謹慎処分を申し付けられたジャッカル佐崎さん。「上も了承していたはず」「ホワイトボードにもその旨書いていた」と反論するも「“終日MTG”って書いてたら普通はミーティングだと思う」との上司の説明に逆ギレ、ちくわに釘を詰めて投げる等で抵抗するも機動隊の一斉掃射でハチの巣にされた。

 

小枝を踏み折れば、骨を折ってあがないとする。
――ラノワールの侵入者への処罰

 


 

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 『ヘルバスター -地獄を狩る者-』読む。巻来先生の作品の中では『迷宮魔術団』と連載時期が近く、エログロ要素など共通点も多いが、「初期設定の救いの無さ」「エロ描写のえげつなさ」などもあって本作のほうが陰鬱でドロドロとしており、妖しい魅力を放っている。
 犯人に頭を撃たれて殉職した刑事・忌井霊市の元に死神が現れた。生き返った霊市は「怨霊が見える」「手から直接鎌が生える」という迷惑な力を授かり、自分を撃った犯人にレイプされ誘拐された妻を助けるためにグチャドロ伝奇バトルをおっ始めるのであった。ちなみにこの死神はプルートンであり、代々神社の家系であった霊市の一族の守護霊なのだという。ギリシャ神話の冥界の王が、日本の神社で守護霊をやってる意味はよくわからないが…。
 さっきも言った通り全体的に暗いうえにエロく、ラストの「死んだはずの人物が生きてた!」展開もまったく説明がなく打ち切り感は漂うが、話自体はわりと面白く読める。巻来先生はホント、『ゴッドサイダー』以外では優れたストーリーテラーである。

 ちなみに本作は懐かしの「MANGAオールマン」連載作品。確か「少年でも青年でもなく、すべての男たちに向けての漫画誌」みたいな意味でオールマンと名付けられた集英社の雑誌で、週刊ジャンプ連載経験のある作家がぞろぞろとオトナ向け漫画を描いていた。雑誌自体は正直あまりパッとしないまま7年間続いて休刊したが、未単行本化のものも含めて作品自体はけっこう注目すべき作品は多く、有志の研究が待たれる(というか待っている)。