漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

戦いつきず日は暮れて/『ドーベルマン刑事』平松信二

 奥さんがホットヨガ教室を解約したらしい。まあねえ…。水素水とか進めてくるとこだしねぇ…。ホットヨガの“健康になります指数”、コーヒー浣腸とかとあまり変わりないのでは…? 奥さんが解約したのは、どうも体に合わなくて体調がよくないという理由だったらしいが。じゃあもうヨガはやらないのネと思いきや、今度は「ハンモックヨガ教室」だのを探しているのだという。なんだそれは! ていうかヨガ教室ってそんなにバリエーション豊かに偏在しているのか! やめろやめろ! 「お前のような莫迦はいらぬなり!」「その言葉待ち焦がれており申した!」瞬着! 強化外骨格、零! 強化外骨格、霞! 神州不滅を象徴するが如き鋼鉄の意思が対峙する! 「我らを花に例えるならば、人も通わぬ山奥に、咲いた紅葉の心意気!」「正しいから死なない!」(以上です)

 


 

 平松信二作品、ほとんどがKindle Unlimitedで読める。これはうれしい。『ブラック・エンジェルズ』『マーダーライセンス牙』『外道坊』『どす恋ジゴロ』…貴重な短編集もいくつか含まれていたりする。

 『ドーベルマン刑事』、読み返したのは下手すると30年ぶりくらいになるが、まあ最高としか言えないバイオレンス刑事ドラマ。まあ死ぬ死ぬ。人が死ぬ。悪人も善人も死ぬ。1話完結のものはともかく、長編シリーズになるともうムチャクチャ。武論尊の原作の時点では残されていたであろう社会への問題提起や風刺はすっかり消え去り、射殺される小学生、腕や足がもげる警官、頭をマグナムで打ち抜かれて爆散するヤクザなどのバイオレンスシーンしか頭に残らない。最高だ。

 唐突ですが「『ドーベルマン刑事』の誤解されやすい点ベスト5」を挙げます。

 

1.思ったより「〇〇でぇ~~ッ!」とか言ってない

 1巻に1回言ってるかいないかのペース。唐沢なをき『電脳なをさん』のドーベルマン刑事パロディ回では「マックユーザーだってどエロゲーをどやりたくなることがどあるんでぇ~~ッ!」とかなんとか言ってたし、本作を象徴するセリフのような気がする「でぇ~~ッ!」だが、案外そうでもなかったりする。「外道」「ド外道」は普通に言ってます。

2.「いんだよ 細けぇことは」とか言ってない

 それは『ブラック・エンジェルス』の松田のほう。

3.思ったより人死んでない

 すいません、ウソです。わけがわからないくらい死んでます。長編エピソードになると特にそれが顕著で、「警察隊自衛隊!!」「私設警察」「沖縄コネクション!!」などの回はもう虐殺に近い。長編はどれも当時の社会問題や風潮に切り込んだ高いテーマ性が感じられるものの、読み終えても頭に残るのは射殺される小学生、腕や足がもげる警察官、頭がはじけ飛ぶヤクザだけである。

4.アニメ化されてない

 テレビドラマ化1回、千葉真一主演で映画化1回、竹内力主演でVシネマ化1回されているのだが、アニメ化はされていない。ちなみに上記の映像化はどれも芯を食っておらず、テレビドラマ版は「警察犬を率いる“加納隊長”と若き刑事たち」の話になっていたし、登場した警察犬もドーベルマンではなくシェパードであった。ぱちんこ「CRドーベルマン刑事」のデザインはわりとよい感じで、三森が炎ジュンにしか見えない点を除けばキャラチョイスもいいんじゃないんでしょうか。

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5.加納、最終回で死んでない

 『鳥人戦隊ジェットマン』みたいな最終回だったんですが、どう見ても死んでるようにしか見えない加納、続編の『新ドーベルマン刑事』では普通に生き返っていた。なぜ生きていたのかは不明で、加納はなにか理由があるようなそぶりを見せていたが、最後までまったく説明されなかった。まあ平松先生の作品では、頭を打ち抜かれたり首を切断されて生首になったりしても次回作で普通に生き返ってたりするので。加納の場合も刑事墓場で4つの玉を集めたとかそんな理由であろう。本当は「パラレルワールドだった」という理由がちゃんとあるらしいが、まあ。

 

  以上です。読もうぜ。