漏洩まんが祭り

漫画・ゲーム・映画・怪奇の備忘録と虚無の日記

【日記】星空に殺意がひらめくとき…/『SHY』実樹ぶきみ

 社内チャットで「今度○○に行く人~?」みたいな募りがあるとするじゃないですか。で、すでに2人くらいが「行く!」「行きます!」ってすでに返信してた時、多少出遅れた者としては「イクーーーーーーーーー!!」ってレスするしかないじゃないですか。その後2日半、誰もなんも反応しないの。全スルーですよ。これ、おれが悪いんですか?

 あと社内チャットで「〇〇誰か買った?」みたいな雑談があるとするじゃないですか。で、それに対して「買いました!」「僕も!」「私も!」って3人くらいが返信してたらフリにしか見えないし、「やきいも!」ってレスしたくなるじゃないですか。ガン無視ですよ。新人クンたちは『珍遊記』読んでないの? これ、おれが悪いんですか?

 


 

 週刊少年チャンピオン『SHY』1~4巻を読み、こりゃイイねと新刊の5巻も買ってしまった。ええんよこれ。いい……。

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 ヒーローが世界各国にいる時代、日本を代表するヒーローの正体は恥ずかしがり屋の女学生であった! というお話。『ワンパンマン』『ヒロアカ』が存在感を放ちすぎている現在、ヒーロー漫画を描くなら差別化は必須と思われるが、本作は「荒唐無稽」「豪放磊落」とは真逆の繊細さがウリと言える。先の2作やアマプラで放映中の『ザ・ボーイズ』がヒーローの絶対的な強さを描くとともに彼らの持つマイナス面・闇の部分を暴き立てている一方、『SHY』は心の強さこそがヒーローの強さであるという姿勢を終始崩さない。

 登場人物の心情描写は細やかで、「盛ろうと思えば盛れる」部分…例えばヒーローの能力だとかコスチュームの過激さだとか敵の悪辣さだとか、そうした部分もうまいことブレーキを掛けている。ヒーロー漫画としてはかなり独特な雰囲気を持つ、ちょっと類を見ない作品。水彩の味わい。

 

【日記】初めての夜はすごかったです/『Ghost of tsushima』

 とは言え、テレワークから4か月経過しても相変わらずZoom会議は盛り上がらないし慣れないとか、仕事場と家を分けてないからオフという概念が薄れてかえって落ち着かないとかの問題は解決していないのだった。後者はわりと深刻で、スタバでこれ見よがしにワーキングしてる連中の気持ちが少しわかったりした。普段の行動範囲と違う場所で仕事をする、というのは精神のなんかにおいて重要であり、「仕事場ではない場所で仕事をする」というのもケアの一種なのかも知れぬ。
 逆に言えば「出社して労働しない」というのも能率アップにつながるのでは? と盲点に気づき、あえて仕事場に赴いてYoutubeだけ観て定時退社したり、ちくわに釘を詰めたりして過ごしたが特に仕事がはかどる様子は見られなかった。労働、まだまだ謎が多い。

 


 

 ゲームは『Ghost of tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)をちまちまプレイしている。元寇の頃の対馬を舞台にしたサムライ蒙古スレイヤーなりきり黒澤アクション。

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 おおまかな作りはそれこそよくあるオープンワールドで、あちこちを移動してメインストーリーやサブキャラクター由来のミッションを進めたり、蒐集要素をこなしてスキルやアイテムを解放したり、敵が占拠した拠点をブッ潰したりといったものだが、それを日本丸出しにしただけで新鮮味がスゴいのである。スタッフの本気度もかなりのもので、プレイ前にちょっぴり期待していた「おもしろ勘違いニッポン」とは程遠く、ちょっとしたやり過ぎの美学や微妙なカン違いは見られるものの(障子を開け閉めする速度がシステム的な都合を考慮しても異様に早かったり、神社が参拝させる気皆無な難易度MAXのサスケみたいなアスレチックステージになってたり等)、日本人から見ても違和感はほとんどない。クナイや煙玉、フックロープを駆使して蒙古兵をステルスキルする姿は誉れあるサムライというかニンジャに近いが、主人公は冥人(Ghost)なので仕方ないのである。

 正直な話、本作を遊ぶまで対馬がどの辺にあるのか、どんな形状をしているのか薄ぼんやりとしか知らなかった(日本の地理を桃鉄だけで覚えたため)くらいだが、気軽に旅ができるようになったらぜひ訪れたい地となった。狐を撫でながら各地の温泉に浸かり(思うこと…)存分に弓を射たいものである。

 

【日記】宇宙病人間/『あつまれ どうぶつの森』

 週末だけだから、土日だけ自粛してくれればいいから! 先っちょだけだから! という都の要請をまじめに守りつつもテレワ~クに励む3月だった。もともと家のPCのほうが性能いいし、おれは家だろうが職場だろうが堂々とサボるので効率が落ちることは特になかったが、作業量自体が通常の1.5~2倍くらいあったので普通に死んでおりました。
 久しぶりに外に出ると町の様子は一変していた。歩行者はみなマスクを付けているし、あと肩パッドも付けているしなんなら釘バットも装備している。人心の荒廃極まれり、ほんの少し前まではトイレットペーパーがどうこうと騒いでいたはずなのに「今じゃこんなものケツを拭く紙にもなりゃしねってのによう!」とココカラファインの店頭でトレペをブチ撒けたり、除菌ジェルにミモザやアラザンをあしらって小粋なデザートに仕立てたり、ちくわに釘を詰めたりしてゲラゲラ笑っている。店主の心の叫びを聞きつけたジャッカル佐崎さんが暴漢どもに挑みかかるも袋叩きにあい、ファブリーズを撒き散らしながら回転放尿する最終奥義でその場を凌ぎ切るも店主からはすこぶる不評。「店先をこんなに散らかして! いったい何なんだ君は!」「なんだチミはってか! そうです!(以下略)

 


 

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 『あつまれ どうぶつの森』を始める。このシリーズは3カ月以上飽きずにプレイできた試しが無いが、新作が出るたびになんだかんだで買ってしまう。今までは自分の家を家具で飾り付けたりできたのだが、今作では舞台となる無人島全体に家具を置いたり、地形を作り替えたりしていろいろカスタマイズできるのがウリ。『マインクラフト』的な要素を取り入れ、より理想に近い箱庭が作れるようになっている。家具と衣装のバリエーションがアホみたいに増えていてすごい。

 

 『ぶつ森』は生活シミュレーション+コミュニケーションみたいなゲームだが、現実と連動して時間が進むのが大きな特徴。夜になるとお店が閉まったり他の住民が寝てしまったりするので、夜型生活の人間だと誰も出歩いていないまっくらな海辺でタイを釣るくらいしかやることが無い日が続いたりしたが、そういうリアルタイムゆえの理不尽さも含めて楽しむようなユニークさがあった。ただ「不便なのも味だよネ」と開き直らなかったところが偉い。シリーズを重ねるごとにどんどんシステムは快適になり、不快なキャラクター(詐欺師・陰気・セクハラ等)はリストラされていき、その結果『ポケモン』を超える売り上げを誇るビッグタイトルになり申した。流石にござる! お美事にござる!

【日記】嘆きの自宅/『盗撮影手パパラッチ』

 コロナウイルス何するものぞ、どうせ罹るときは罹るんだし手洗いとうがいを済ませたうえでバンバン外出して経済を回そうではないか! くらいは言いたいのだが、こういうことを声高に叫んでいるヤツほど真っ先に感染しそうであり、その場合だいぶカッコ悪い気がするので勇気が出ない。どもあれこれをきっかけに少しでも在宅勤務の導入に意識が向けばいいですね。時代はイット革命。おれは在宅勤務を命じられたら平日昼から晩杯屋でアルコール消毒に励んだりしそうなのですが…。ともかくこの騒動、国民の皆さんにも天皇を中心としている神の国の一員であるとの自覚を持って対処していただきたいですね。大阪は痰ツボ! (AIBOを見て)これ噛むの? ――『森喜朗先生を偲んで』(2020年7月24日)より引用

 


 

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 『盗撮影手パパラッチ』読む。ヤングジャンプ連載作で原作はン先生、作画はSFから麻雀まで何でも描いてしまう柳澤一明。
 「将来はパパラッチになってスクープ写真で大儲けするンゴw」とか言ってた主人公が、ひょんなことから唯一の肉親である兄が殺し屋として活動している写真を撮ってしまう。実の兄、殺しの依頼者、各方面から狙われたり救われたりして大変なことになる主人公。パパラッチとして名を挙げるため兄を売ることができるのか!? というお話。創作物では悪役になりがちなスクープカメラマンの目線からマスコミの矜持を描く、という題材はわりと新鮮。ただ巨悪と対決する第1章がなかなか盛り上がるだけに、雑誌専属のパパラッチとして活動していく以降の章に蛇足感がなくもない(高校野球回の解決のしかたはヒドい。いちカメラマンの権力というか力量を超えている)。まあでも1巻のテンションのまま続けたらパパラッチの仕事は描けなかったろうしなあ。

【日記】牛乳運んでピポピポピ/『ぼくらの時代』コンタロウ

 いやぁホイップクリームメロンパンは美味いですなッ! ストレスフルなワーキングによるタイアードなマインドをケアしてくれるのはホイップクリームメロンパンしかありませんなあ。などと年末年始やってたら腹肉が急成長の兆しを見せたので『リングフィットアドベンチャー』を始めた。『Fit Boxing』はしばらくお休みして、まずは筋肉をつけるとこから始める。筋肉ついたらゆくゆくは毎日70分くらい運動してガリガリになる未来予想図です。ただ今は70分あったら『龍が如く7』をプレイしていたいので無理です。『龍が如く7』は相当に面白い。熱中度で言えばホイップクリームメロンパンに勝るとも劣らない。それでいてカロリーはほぼゼロなので、労働中も手軽に龍が如く7を摂取できるのがダイエット的にはいちばんいい。

 


 

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 コンタロウ先生の青春ドラマ短編集『ぼくらの時代』をkindle unlimitedで読む。解説には「学校を舞台にして起きる様々な出来事が、当事者の視点で描かれる熱血学園コミック!」などとあるので、さわやか3組みたいな教育ドラマ的な内容なんだろうな~と思いつつ読んでいたらド肝を抜かれた。「熱血学園コミック」などという枠組みでは収まらないバラエティの広さである。友情の大切さを描いたイイ話、ギャグに吹っ切れた荒唐無稽な話もあるが、「いじめ」について真正面から取り組んだ話、非常に後味の悪い話、完全にSFに足突っ込んでる話etc…。「さわやか3組」かと思って観ていたら「世にも奇妙な物語」だった、くらいの驚きがある。本当にもう、マジで1巻だけでも! 1巻だけでも読んでみてつかあさい。ここまで説明してもなお、あなたの予想を絶対に裏切ってくれると保証してもいい。マジで。

【日記】肉食恐竜VS巨人族 インカ砦の死闘/『1、2のアッホ!!』コンタロウ

 地獄労働が一段落。肉でも食いたくなり、16時ごろ開店直後の焼肉屋へ行くと「満員です、すみません」と店員。ガラガラじゃないか! と文句を言うと驚愕の表情でこちらを見つめてきたので退散した。実際は“何か”で席が埋まっていたのかも知れぬ。
 しょうがないので歌舞伎町をぶらぶら歩き、近場の「やきとりセンター」に行くことにした。これもある意味で食肉センターだし。

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 黄色地に赤字の看板からはどうしても「ジェネリック鳥貴族」「パチ貴族」みたいな雰囲気があるが、これがどうして。品揃えはだいたいが180~480円くらい、どれもよくあるメニューに一工夫加えたモノばかり。メインの焼き鳥からして、塩とタレの他に「にんにく味噌だれ」を選べたりする。サイドメニューにある「大根の自家製鬼おろし」をたっぷり付ければワンステージ上のうまさ。備え付けの唐辛子も、店頭ではめったに見ないS&Bの黒煎り七味だったりして細かいこだわりを感じられる。あと冷たいのに食べやすくてうまい手羽先「夢のいいとこ鶏」、花椒がバカみたいに効いてる「しびれきゅうり」、あきれるくらいに臭みが無くて濃厚な「レバテキ」など、なんて言うんでしょうか。普通の居酒屋ならとりあえずで注文するものが全部うめぇっていうか。シメはタレがたっぷり染みた「丼めしセット」で決まり。焼き鳥チェーン店はいろいろ行ってきたつもりだが、味と値段のバランス的な満足度は相当なモンでした。あんまり気に入ったので後日友人らも連れて行ったが、どんなに飲み食いしても1人3000円程度で収まるのも良いです。

 


 

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 Kindleで『1、2のアッホ!!』(コンタロウ)が安かったのでまとめ買い。一度聞いたら忘れられないタイトルで存在だけは知っていた。さすがに自分が生まれる前のギャグ漫画はキッツいだろうなあ…と思っていたがこれがどうして、素直に楽しめた。時事ネタに加えてえげつない下ネタも時には挟まれるものの、不思議と下品な感じはしない。どんなに過激な内容でも一定の品の良さを保っているのは、小手先のテクニックによらない作者自身の人柄によるものかなあと。
 『キン肉マン』でおなじみ、アデランスの中野さんが準レギュラーとしてかなりの頻度で出てきたりもする。ジャンプのギャグ漫画で編集者がキャラとして出てくる例はかなりあると思うが、その元祖は誰なんだろうなあ。ちなみにコンタロウ先生の次作『ルーズ!ルーズ!!』は初期こそ『アッホ!!』のカントクがスターシステムで主役を張っていたが、中盤から編集部の奥脇氏(『奇面組』の色音好でもある人)がモデルの垂目くんが実質的な主人公になっていた。垂目は『いっしょけんめいハジメくん』にも出ていたし、息の長いキャラである。

【映画】ラム肉モツまみれの鮮血ウール/『ブラック・シープ』

 年末辺りから激ヤバだった労働が一段落つきまんた。一時期は頭を使いすぎたせいか他人との会話も「キシーーーーーーーーーーーー」「モペペ」の2語だけで済ませていた。
 おかげで生活パターンもすっかり変わってしまった。『Fit Boxing』もぜんぜんやれてないし! 買ってきた漫画を読むヒマすらねえし! そのわりにはユーツーブの東映特撮チャンネルは毎日のように見ており、特に『キカイダー01』の深いのか浅いのかさっぱりわからない人間ドラマ(というか人造人間ドラマ)にはかなりの感銘を受けた。昔の特撮番組は発見が多く、「情念がこもっていると同時にいい加減」というスタンスには脱帽する。あと『ウルトラマン』シリーズってなんだかんだで完成度の高さは段違いだよなとか。

 


 

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 ゲロ労働中、1日だけ休みを取れたので観に行った映画が『ブラック・シープ』。2006年のニュージーランド映画が紆余曲折(具体的に何があったか知らんが)を経てようやく日本公開。一言でいえば傑作であり、賞味期限切れかけの具材をOH!MYコンブばりに稚気交じりの工夫で極上ジンギスカンに仕立てている。

 遺伝子改造を受けたヒツジが人食いの怪物に変貌、ヒツジに噛まれると伝染しどんどん仲間を増やしていくという、夜になったら布団を敷いて寝るみたいな安心と定番のお約束展開ながらダレる部分が一切ないスピーディかつ濃厚な展開。アクの強い登場人物に安っぽさのない特撮、ツボを押さえた笑いとこの手の映画に必要とされるモノをすべて備えている。CGっぽさが無く特撮がかなり上出来なせいで、劇中で人食いヒツジを退治するシーンなどは本当にヒツジをボコっているようにしか見えない。…ボコってないよね?
 ヒツジに噛まれるとヒツジ人間になるという、昨今の動物パニックでは特に珍しくも無い展開にも一捻り加えられている。要はゾンビの亜種なのだが、なんせ元がフワフワモコモコのヒツジなのでそんなに怖くないというか、笑えるポイントになってしまっている。では家族でニコニコ見られるコメディ映画かと言われればそんなことはなく、エグいシーンはとことんにエグい。どの方面にも忖度しない「やってやれ」感を見るにつけ、『ブレインデッド』や『バッド・テイスト』を生み出したニュージーランド映画界はさすがのさすがだなと思うのでした。